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2006-2007シーズン 273日で、
総公演数 169回
内、室内楽・ユースオーケストラ 14回
内、他からの招聘公演       25回

SFSとしての公演          130回
(内、ティルソン・トーマスが振るのは3割、ブロムシュテット1割)

これに、カリフォルニア地域での公演、海外公演、教育やコミュニティでの活動などが加わります。

デイビスホール昼間


彼らの活動の拠点は、デイビスシンフォニーホール(写真、約2,700人収容)で、ここはシンフォニーのシンボルとなっています。他にはシリコンバレーのフリントセンターでもコンサートを開いています(今シーズンは8回)。

一つのプログラムで、だいたい4~5回公演があります。
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ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団は、地元の人々から大きな支持を集めています(KEEPING SCOREの英雄編でも、曲が終わったときの客席の反応がすごいです)。

具体的には、
定期会員数(subscribers):32,000人
(サンフランシスコの人口約79万人、実際のマーケットはシリコンバレーなどの周辺地域も含むのでもっと大きい)
年間観客動員:推定55万人(この他に、教育プログラムの参加生徒数 年間59,000人。これらの数字は、シンフォニーのウェブサイトやパンフレットの記載から読み取ったもの)

シンフォニーのパンフレットには、「locally treasured」とありますが、まさにそれ以上の表現はないでしょう。

*補足(2007.6.27)
サンフランシスコ交響楽団に確認したところ、彼らのマーケットはサンフランシスコ、サンノゼを中心とするsouth bay、オークランドとバークレーがあるeast bay、ゴールデンゲートブリッジを渡った対岸のnorth bayの4地区からなり、それらは合計で約6百万人の人口があるとのこと。
もちろん、ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団が作り上げる音楽のセンスや明るいサウンドに共感したというのもあります。

しかしそれよりも、KEEPING SCORE のコンテンツを見たとき、こういう活動が存在することを日本人が知らないまま過ぎてしまうのは、何か違うと感じたからです。

というのも、彼らに興味を持って以来、日本の音楽雑誌などで彼らの記事がないかと探してみたものの、マーラーのCDの紹介くらいしか発見できなかったのです。

唯一「レコード芸術」のアメリカからのニュースの中で、向こうのジャーナリストがKEEPING SCOREをとり上げていましたが、ルネ・フレミングの記事に隠れてほとんど誰も気づかないくらいの扱いでした(ルネ・フレミングの見出しでは、オペラ好きの内のメト系演出ウェルカムという人しか反応しない)。

ともかく、彼らのコンテンツに人を動かすパワーがあったということでしょう。
早く8番を聴きたい皆様(私も)、プロジェクト好評につき2006年3月にシリーズの拡張が発表されています。

【今後の予定】
交響曲第10番よりAdagioと
リュッケルト歌曲集(メゾソプラノ:Lorraine Hunt Lieberson)
(両方とも2006年4月に録音済)

*訂正
リュッケルトは、Liebersonの病気により録音延期(その後彼女は亡くなった)、Adagioだけが録音されています。

子供の不思議な角笛(バリトン:Thomas Hampson、2007年5月に録音予定)と
さすらう若人の歌(歌手・録音時期とも未定)

大地の歌(歌手・録音時期とも未定)

交響曲第8番“千人”(2008-2009シーズンに録音、シリーズ最後にリリース予定)

8番は先シーズンに録音したものがあるみたいですが、新たに録音するようです。

回を重ねるごとに確実にオーケストラのレベルが上がっていることが感じられる彼ら(6番と5番を聴き比べると驚きます)。最後にはどんな風景を見せてくれるのでしょうか、楽しみです。
7番を持っていくティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団ですが、他もマーラーをたくさんとり上げます。

アバド/ルツェルン祝祭管→3番
ヤンソンス/バイエルン放送響→5番
ラトル/ベルリンフィル→9番
デュダメル(バレンボイムご推薦の新星?)/ウィーンフィル→1番

足がすくんじゃうような顔ぶれ。

ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団は、今年8番を持っていって成功を収めましたが、この曲は完成度を上げることは非常に難しいものの、歌や合唱がたくさん入るし(合唱はさすがに現地調達だった)、何が何だかわからないうちに一気に過ぎてしまうようなところがあります。したがって、オーケストラだけで構成される7番で真価が問われるでしょう。

しかも、2005年にアバドがルツェルン祝祭管と記念碑的名演を残した7番!

ティルソン・トーマス(MTT)には、9月までに曲の練り上げにさらなる磨きをかけてと言いたいところですが、7番をこれ以上練り上げると、やりすぎでどこか遠くに行ってしまうかもしれないのでやめておきます。ぜひ体調万全でいつものMTT&SFSワールドを披露し、皆の度肝を抜いていただきたい。

絶対応援に行きます!

ルツェルン音楽祭ホームペ-ジ(英語)
ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団は、2007年もルツェルン音楽祭にエントリーします。

【プログラム】
<9/12>

GUSTAV MAHLER / Symphony No.7
<9/13>
AARON COPLAND / Fanfare for the Common Man
JEAN SIBELIUS / Violin Concert in D minor, op.47
(Julia Fischer Violin)
PYOTR ILYTCH TCHAIKOVSKY / Symphony No.1 “Winter Dreams”
<9/14>
CHARLES IVES / Symphony No.1
SERGEY PROKOFIEV / Piano Concerto No.3, op.26
(Yefim Bronfman Piano)
DMITRI SHOSTAKOVICH / Symphony No.5, op.47

3日連続で全部違うプログラムとは、何てハードな音楽祭でしょう。マーラーを初日に持ってきたのは正解かも。

ティルソン・トーマスらしさが出て、かつ自信ありそうな曲ばかりのラインナップ。ソリストも豪華でどれも聴きたい!
「のだめカンタービレ」ブームがとどまるところを知らない勢いです。

コミックを読んで、どんな演奏なのかと想像するのが結構楽しかったりしますが、のだめの音楽のイメージって、私の中ではフルートのシャロン・ベザリーです。

羽の生えたような音と何ものにも束縛されない、技術も表現も枠のはめようがない感じが。

今年6月に来日した時、聴きに行きましたが、笛1本背負って日本にやって来たみたいな風情で、世間一般の若い女性アーティストとはかけ離れた雰囲気をかもし出していました。

演奏会も日経ミューズサロンという、何か昔ながらの鑑賞会みたいな独特の雰囲気がある催しで、ベザリーの自由な音楽とのアンマッチ感が不思議でした。

違う星に行ったっきり戻ってこれないかもしれない?カデンツァ。
Mozart: Flute Concertos; Rondo; Andante [Includes the Bis 2005 Catalog] [Hybrid SACD] Mozart: Flute Concertos; Rondo; Andante [Includes the Bis 2005 Catalog] [Hybrid SACD]
Wolfgang Amadeus Mozart、 他 (2005/10/03)
Bis
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では千秋のイメージは? 私の中ではどうも彼の音楽のイメージがあまり広がらないのです。

さて、今日はドラマの最終回。何だかんだ言いつつも楽しめたように思います。玉木千秋の指揮ぶりにもうつっこみを入れられないと思うと寂しいです。
お薦めポイント。

【チャイコフスキー 交響曲第4番】
マーラーのCDを聴いて、「どうしたらこんな演奏ができるのか?」と思った方はぜひ。彼らの活動ぶりも知ることができます。
Keeping Score: Mtt on Music Keeping Score: Mtt on Music
San Francisco Symphony、Thomas 他 (2005/03/08)

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【ベートーヴェン 英雄】
彼らの音楽的実力をはかりたい方。堂々と受けて立ちましょう!
Keeping Score: Eroica Keeping Score: Eroica
Beethoven、Sfs 他 (2006/11/14)

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【ストラヴィンスキー 春の祭典】
音楽と映像の楽しさではコレ。クラシック音楽の魅力を伝えるというテーマに関心のある方にも。
Keeping Score: Rite of Spring Keeping Score: Rite of Spring
Stravinsky、Sfs 他 (2006/11/14)

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【コープランド】
感動したい方に。社会にとってアーティストの果たす役割についても考えさせられます。
Keeping Score: Revolutions in Music Keeping Score: Revolutions in Music
Copland、Sfs 他 (2006/12/12)

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すっかりティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団のファンになった私。

そうすると、当然のように疑問がわいてきます。本当に彼らは素晴らしいのか?もはや単なる信者耳なのではないか?

そこで、よその演奏をいろいろ聴いてみる。

他の演奏が放し飼い的伸びやかさにあふれているように聴こえること!

それはそれで素晴らしいということが良くわかりました。(MTT&SFSもアメリカものなどでは、開放的に伸びやかにやっています。念のため)

また、ティルソン・トーマスにはまるということは、必然的に近現代ものを多く聴くことを意味するので、さすがに音多過ぎ。たまに聴くモーツァルトの音楽が救世主のよう。

でも今回、人生で初めて特定の指揮者とオーケストラのファンになったおかげで、いろいろ楽しめています。

聴き比べもそうだし、マーラーに関する本を立て続けに読んでみたり、アメリカという国について考えるきっかけになったりして、まるでひと頃の韓国ドラマにはまって韓国語始めたおばちゃん状態。

ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団、カムサハムニダ!
シリーズ一作目。今聴いても衝撃的。
Symphony 6 (Hybr) Symphony 6 (Hybr)
Gustav Mahler、 他 (2004/11/09)
San Francisco Sym
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サンフランシスコ交響楽団の音楽監督に就任して6年後に出したこのCDは、いろいろな意味でティルソン・トーマス(MTT)からの挑戦状のような気がします。

まず、スター指揮者と人気オーケストラが短い準備期間で作ったものが、大量に消費されているという現状に対して、サンフランシスコ交響楽団と徹底した音楽を作り上げるという選択をしたことの成果を見せつけているという点。

そして、レコード会社のM&Aに翻弄されるアーティストという現状に対して、サンフランシスコ交響楽団の自主レーベルで最高水準のものを出してきたという点。

さらに言うと、マーラーのCDが高い評価を得たタイミングで、2004年にKEEPING SCOREで自身の音楽を作り上げる過程を見せたということも、

「ここまでできるか」

という彼からの挑発のような気がします。

さてCDですが、これは9.11の翌日からのライブ録音ですが、そうした社会的混乱下にあるということに流されてはいません。

作品には、それ自身がもつ絶対的な価値があり、それは外部的なものに左右されない(=真理は揺るがない)。

ということが、ティルソン・トーマスのメッセージなのではないかと私は思っています。

オーケストラはこのためにどれほどの準備をしたのだろうと思わずにいられませんし、再現される一音一音からは録音スタッフの気合を感じます。

これだけのものを世の中に出したサンフランシスコ交響楽団。ティルソン・トーマスはもちろん、マネジメント陣の力を感じます。
ここまで来たら、是非ともマーラー編をやってほしい。
ティルソン・トーマス(MTT)の口から、今回のマーラーシリーズの音楽づくりに対する思いが語られる様をこの目で見たい!

このプロジェクト、5年がかりらしいが、起算点はいつ?
チャイコフスキーの2004年からカウントすると2008年までになるから、あと1回くらいは今回のような規模でできるかも。

ちなみにサンフランシスコ交響楽団のウェブサイトでは、KEEPING SCOREプロジェクト継続中につき、寄付募集中です。
目に付くところをあげれば、
●ティルソン・トーマス(MTT)は語りがうまい。
●淀みなくずーっとしゃべっている。
●彼のピアノは一瞬にして作品のエッセンスを表現してしまう。
など、いくらでもありますが、それよりも強く伝わってくるのは、次のような彼の信念です。

演奏というのは、過去の偉大な作品に命を吹き込むことであり、それによって作品は今の時代に生きることができる。
そしてそれはアーティストだけでなく作品を聴いてくれる人々が存在してはじめて実現できるものである。
これらの伝統は、次の世代に受け継いでいかなければならない。


このシリーズ、ドキュメンタリーとライブ演奏がセットになっていますが、これはうまいと思います。ドキュメンタリーによって音楽がより理解できる上、ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団の生き生きとした演奏で、クラシック音楽の魅力も彼らのメッセージもビビッドに伝わってきます。

今回のシリーズは、もともとテレビ番組用に制作されたものですが、いったいどれくらいの人が見たのでしょう?

アメリカは日本よりもチャンネル数が多いし、人々の好みも多様化している。それでも音楽に真正面からアプローチしつつ楽しめるものを作った点は評価できると思います。

日本でもどこかの放送局が放映権を買い取り、多くの人が見てくれたら良いのに。それだけのクオリティとエンターテインメント性があると思います。
第三回はコープランドと彼が生み出したアメリカ音楽です。
Keeping Score: Revolutions in Music Keeping Score: Revolutions in Music
Copland、Sfs 他 (2006/12/12)

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コープランドは、始めは前衛的な音楽に傾倒する。しかし、大恐慌と戦争という社会的な影響から、次第に社会とアーティストの関わりを考えるようになり、多様なアメリカ人皆が共有できる音楽とは何かを探求する。そして最後に、シンプルな音楽に至るという過程を辿る内容。

音楽を実際に聴きながらその変遷を辿っていくのが非常に興味深いし、最後に奏でられる「アパラチアの春」とコープランドの姿が、一人の芸術家の生き様として圧倒的な迫力です。

アメリカ音楽を伝承するという観点と、社会にとってアーティストの果たす役割を考えるという点から、今回コープランドを採り上げたのだと思われます。

ドキュメンタリーに続く演奏は、「アパラチアの春」のオリジナルバージョンで、13人で演奏されています。コープランドが辿り着いた境地をたっぷり堪能できます。

ウェブ版の方は、コープランドの人生をいくつかの時代に分け、年代ごとにより詳しく社会背景や音楽を辿ることができます。本人の資料も多く残っており、充実した内容。

keeping scoreウェブ版

今回は、ティルソン・トーマスが前衛的な音楽をピアノで弾くシーンがいっぱいありますが、見事なはまりっぷり。トーンクラスターのセンスだけでも見て損はないくらい。
KEEPING SCORE のライブ演奏を見ていると、ある共通点に気がつきます。

それは、ティルソン・トーマス(MTT)は汗をかいている気配がないということです。

英雄でもハルサイでも、最後まで髪の毛さらさらです。

チャイコフスキーでは、演奏後に舞台袖に引っ込むシーンがありますが、感想をべらべらしゃべっているだけで、汗もふかず、髪の毛も直さず、そのままカーテンコールに出て行きます(カットされている訳ではなさそう)。

訓練の賜物なのか?うちでは、絶対に崩れないテンポを維持できる鉄壁の右手と相俟って、ティルソン・トーマス サイボーグ説が流れたのでした。
アーノンクールも私の好きなアーティストですが、アーノンクールとティルソン・トーマス(MTT)は似ているって思います。

レパートリーやアプローチはもちろん、本人のまとっている雰囲気も全く違うのに。

NHKでやっていたアーノンクールのインタビューで、彼は「ただ昔の奏法を再現するだけでなく、今の時代に古楽のスタイルで演奏することの意味をいつも考えている」というようなことを言っていました。

古楽のスタイルは手段であって、結局作品を「今生きているもの」にすることが重要ということなのでしょう。

徹底して作品を探求する姿勢と、自分の構想した音楽を実現させるための執念。そして格闘した末に生み出される音楽が「今生きているもの」だと感じさせるという点で、アーノンクールとティルソン・トーマスは似ているのです。
KEEPING SCOREには、サンフランシスコ交響楽団のファミリーコンサートの様子がよく登場します。

これが毎回、非常に楽しそう。

子ども向け=大人とは違う内容、という常識をいとも簡単に覆し、難解といわれる曲でも普通に採り上げてしまいます。

でも、そこにはちゃんと戦略があるのです。

まず、毎回テーマがあります。それに応じて、始めに曲の構成要素とか担当楽器などの「ここに注目して聴いてね」という部分について、取り出して演奏します。その時、ティルソン・トーマス(MTT)やオーケストラメンバーが観客の興味を惹きつける話を加えます。そして観客の好奇心がかき立てられたところで実際に通しで演奏をします。

例えば「春の祭典」

1. ストラヴィンスキーが、師であるリムスキー=コルサコフが作り上 げたロシア的な音楽である「MLADA」の書法を取り入れて「火の鳥」を作り成功したというところから話を始め、両者の音楽の類似点を聴き比べさせる。
2. そしてストラヴィンスキーがオリジナリティを追求した結果「春の祭典」に至ったのだと話を展開させ、
3. ではどこがオリジナリティなのかというところで、曲をいくつかのパートに分けた上で、メロディーやリズム、担当楽器などの要素を取り出して聴かせ、
4. 最後にある程度まとまった長さを通して聴かせる

という内容なのです。

サンフランシスコ交響楽団のパンフレットには、

「オーケストラのライブ演奏の忘れられない経験は、一生続く子どもへの贈り物」

とありますが、クラシック音楽の本質的な魅力を感じ取ってもらいたいという姿勢に、彼らの潔さを感じます。
日経新聞夕刊のコラム「あすへの話題」、金曜日の担当は俳優の児玉 清さんで、私はこれを毎週楽しみにしています。

毎回何かに怒っているのですが、読者の側は、テレビ番組の司会や、読書について書いておられるものを通して児玉さんの人となりを知っているので、毎週怒っていても読後感がさわやかなのです。

今日は、公共の場で幼児が騒いでも叱らない親に怒っていました。

そして、ドイツの教会でパイプオルガンの演奏会に行った時、子どもがたくさん来ていたのに、親がしっかり制止していたのでとても静かだったという話をあげていました。

私はこれを読んで、昨年のザルツブルグ音楽祭で、ヤンソンス&コンセルトヘボウの演奏会に来ていた男の子のことを思い出しました。


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マーラー7番が、クラシカルアルバムとオーケストラの2部門でノミネートです!
Mahler: Symphony No. 7 [Hybrid SACD] Mahler: Symphony No. 7 [Hybrid SACD]
Gustav Mahler、 他 (2005/10/11)
San Francisco Symphon
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このシリーズ、6番・3番に続いて3度目の受賞なるか? 発表は2月11日。
ウェブ版は、作品への歴史的アプローチとスコアの2つで構成。

歴史的アプローチの部分は、ストラヴィンスキーを中心に、「春の祭典」を創り上げた4人の人物の歩みと、それが「春の祭典」に集結していく流れがタイムラインによって表示され、それぞれを詳しく見ることができるようになっています。

写真や絵が多いので、ビジュアル的にも当時の雰囲気を感じることができます。

スコアの方は、バレエの映像を見ながら音楽が聴けるようになっており、ドキュメンタリーで採り上げたメロディーやリズムなどの要素と拍子がビジュアルで表示されるというもの。

そして今回のスペシャルは、マイケル先生の指揮レッスン!

最後に採点と評価まで出ます。

keeping score ウェブ版
これは徹底的に魅せるつくりで楽しい。
Keeping Score: Rite of Spring Keeping Score: Rite of Spring
Stravinsky、Sfs 他 (2006/11/14)

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次々と切り替わる画面、ぐるぐる回るカメラ、斜めの映像にも、見ているうちに慣れます。

これらの狙いは、ドキュメンタリーで説明した、どの音をどの楽器に割り振っているかとか、どの楽器のコンビネーションでリズムを形成しているのかという点を、画面を見ながら音を聴くことでリアルに感じとってもらうということ。

魅せる演出では、第一部の終わり~ドラムの連打ソロ→マイケル左ストローク→指揮者の背後からオケ全体を映す→ものすごい勢いの弦楽セクション→マイケル決めのポーズ→残響を止める打楽器奏者の気迫「オレたちはこれに命を懸けている」で終わる~という一連の流れが最高。

演奏は、何か一部分を強調したりしないバランスのとれたもの。リズムの躍動感にあふれるティルソン・トーマス(MTT)ワールドです。
第二回は、ティルソン・トーマス(MTT)お得意の「春の祭典」です。
Keeping Score: Rite of Spring Keeping Score: Rite of Spring
Stravinsky、Sfs 他 (2006/11/14)

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ドキュメンタリーは、ティルソン・トーマスの旅と、パリでの初演のエピソードを中心に、音楽を第一部から紹介していく流れになっていて、バレエの映像も組み合わされています。

旅で訪れるのは、ストラヴィンスキーがリムスキー=コルサコフから作曲を学んだサンクトペテルブルグと民族的な歌や踊りのヒントを得たウスティルグ、作品が初演されたパリの三ヶ所。

美しいサンクトペテルブルグの映像に合わせた音楽のセンスが抜群だし、初演の舞台となった劇場や当時のポスターなどもおしゃれ。 

音楽の内容面でのテーマは、ストラヴィンスキーが採用した音楽的素材やリズム、オーケストレーションなどがいかに当時の常識からはずれていて衝撃的であったかという点。

テンポよく進むのであっという間の印象。
サンフランシスコにシンフォニーとオペラを聴きに行って、なるほどと思ったことがあります。それは、公演のスポンサー企業名の表示の仕方です。

会場の一番目に付くところに表示がなされているということ。

さすが、ファンドレイジング先進国アメリカ!

シンフォニーでは、階段を上がってホールに入るのですが、その階段をのぼりきったところ(つまり全員が通るところ)に表示がありました。

さらにうまいなと思ったのは、例えば5回公演があって、5社のスポンサーがあるとすると、その5つに5社の表示をするのではなく、1つの公演につき1社のスポンサーにして、1つを目立たせるという技。

オペラの方は究極の表示方法で、チューニングが終わり、静かになったところで、客席の照明が落ちます。そこにパッと字幕が点灯し、「本日の公演は、、、、」と出て、

「sponsored by」まできたところで画面が切り替わり、企業名が1社ばーんと出る。そして字幕が消えたところで、指揮者登場。

これには、「うまい!」とうなってしまいました。絶対全員の頭に入るもの。

字幕に企業名といえば、思い出すのはザルツブルグ音楽祭。こちらは5社並べて表示がなされますが、同じ企業が何年も継続して支援しているし、いろいろなところで表示を見るので、私は正確に5社あげることができます。

スーパー行ってネスレ製品を見ても、「ザルツのスポンサーだ」と思い出してしまう私って、優等生なお客!
サンフランシスコに出かけた私は、せっかくなのでサンフランシスコ交響楽団の本拠地であるデイビスホールのお隣にある、サンフランシスコオペラを観に行きました。

そこで、思いがけずわれら日本の新国立劇場のことを考えることになったのです。

演目は「セヴィリャの理髪師」。

これが、まさにエンターテインメントという演出で、フィガロなど1ミリの暗さもないキャラクター設定。ドイツ・オーストリア圏の演出に慣れた身には、ハッピーすぎて落着かない?

しかし、お客さんの反応はいいし、カーテンコールの拍手も本当に暖かい。皆で盛り立てているような感じなのです。

その時、私は突然、今までの新国立劇場に対する自分の認識が誤りだったのではと思い至ったのでした。

プロダクションが中途半端だ何だと言っていた訳ですが、新国立劇場の問題の本質って、受け手である国民の側も、ただ待っていれば、国が素晴らしい作品を自動的に提供してくれると期待していることにあると気づいたのです。

このスタンスでは、100年待っても無理だと思いました。

サンフランシスコの民間→オペラハウスという流れも、国民の税金→国→新国立劇場という流れも、大本では国民がお金を出していることに変わりはないのに、サンフランシスコは皆で盛り立てていて、日本は国がやってくれるのを待っている。

これはよく、日本人は権利は国が守ってくれると思っていると指摘されたりしますが、それと同じ構図です。

それではどうすれば?というところでいきなり思考停止になってしまうところが悲しいのですが、とりあえず受身の姿勢は良くないと思った私。

新国立劇場の愛称募集に応募するかと紙とペンを手にするも、アイディア浮ばず撃沈!
今回の KEEPING SCORE の目玉は、ドキュメンタリー・ライブ演奏に連動したWEBコンテンツです。

ウェブ版は2つのパートからなり、1つは作品に歴史からアプローチできる部分と、もう1つはスコアを音楽に合わせて見られる部分。

歴史の部分は、ベートーヴェンの人生と音楽の年譜を軸に、他の音楽家やナポレオンとの相関、難聴の進行やパトロンとの関係が一覧できるようになっており、さらにそれぞれを詳しく見ることができるというもの。

ビジュアル的には当時の絵が多用されており、読みきれないほどの情報量もあります。

スコアの方は、演奏場所の表示の他、主題がどう展開されているか、調性がどうなっているかもビジュアルで表示され、しかもそれぞれ解説つき。

ものすごい力作。これが無料とは!
ぜひ多くの人に見てもらいたいです。

keeping score ウェブ版
ドキュメンタリーの後は、全曲のライブ演奏が続きます。
Keeping Score: Eroica Keeping Score: Eroica
Beethoven、Sfs 他 (2006/11/14)

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始めは、「MTTのベートーヴェン?」 違和感あるかもと思った私ですが、意外にも素晴らしい演奏でした。

ドキュメンタリーでこの曲が腑に落ちるのに30年かかったと語っていたティルソン・トーマスですが(スコアに残るその足跡が壮絶です)、それだけの重みがあります。

そして、彼らのマーラーシリーズはこういう土台の上に成り立っているということがよくわかる、ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団の今を感じさせる演奏です。

シリーズ第二弾、第一回は、ベートーヴェンの「英雄」です。
Keeping Score: Eroica Keeping Score: Eroica
Beethoven、Sfs 他 (2006/11/14)

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ドキュメンタリーとライブ演奏の二部構成ですが、ドキュメンタリーは、ティルソン・トーマス(MTT)の旅と音楽とを組み合わせたもの。

旅では、作曲当時のベートーヴェンの足跡を追い、ウィーンと郊外のハイリゲンシュタットを訪ねます。

ベートーヴェンの作曲当時のエピソードやナポレオン、ライバルの影響などの話を取り上げ、これに第一楽章から音楽を紹介しつつ、音楽面のテーマである主題の展開と調性の話もうまく組み合わせて、総合的に作品に迫るという内容。

この作品に、自分の中で整理がつくまで30年かかったと語るティルソン・トーマスの作品への探究心に思わず惹き込まれてしまうので、教育番組っぽさを感じません。話もわかりやすく、テンポも良いので飽きないし、見応えあります。

目下、一枚だけ選べと言われたら、コレ。

Mahler: Symphony No. 7 [Hybrid SACD] Mahler: Symphony No. 7 [Hybrid SACD]
Gustav Mahler、 他 (2005/10/11)
San Francisco Symphon
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MTT&SFSのマーラーシリーズは、それぞれの曲に良さがありますが、現在私のお気に入りは7番です。

曲想がころころ変わる5楽章では、その一つ一つが新鮮で、それが連なるさまは、まるでマジシャンの手から次々と出てくるかのよう。テンポも大きく動きますが、根底にラストに向かって一貫したエネルギーが流れるのを感じます。

7番はティルソン・トーマスにとってもスペシャルなようで、絶賛されたLSOとの録音があるし、来年のルツェルン音楽祭にMTT&SFSが持って行くのも7番です。

ライブでも、是非聴いてみたいです。
MTT&SFS雑記 | 2006/12/08(金) 08:12
サンフランシスコ交響楽団の活動では、オーケストラメンバーによくスポットライトをあてています。

地元の人たちも、顔と名前が一致するメンバーが何人もいるという感じです。

KEEPING SCORE でも、何人も登場しますが、とりわけ印象に残るのは、ティンパニ奏者のデイヴィッド・ハーバードです。

まず、彼はロッカールームに子ども用プールを持ち込み、ティンパニの皮を水に浸す姿から始まるというインパクトある登場をします。

そして、彼は練習する姿も、コメントの内容も、常に真剣で真面目なのです。

圧巻は、チャイコフスキーの4番1楽章の最後。リハーサルでは、最後の音に対するティルソン・トーマス(MTT)の考えに、なんか納得できない様子のデイヴィッド。

しかし、本番は見事に決めるのですが、ここで最後の音をクレッシェンドするティルソン・トーマスと、指揮者を凝視するデイヴィッドが交互に映され、白熱した目ヂカラ対決が繰り広げられるのです。さらに動作が止まり、残響が消えてからもデイヴィッドの凝視はしばらく続き、まるで時が止まったかのよう。最後にティルソン・トーマスの「よくやった」的アクションが入り、終わります。

今までいろいろなライブ演奏の映像を見てきましたが、こんなの映しているのは初めて見ました。

彼はPMFの講師にも名を連ねているようなのですが、日本に来たら、寿司でもご馳走して労いたい。そんな気持ちにさせてくれます。
KEEPING SCORE シリーズ第二弾は、「revolutions in music」と題して、時代の音楽を変えてしまった、次の3つを採り上げています。

1. ベートーヴェンの交響曲「英雄」
2. ストラヴィンスキーの「春の祭典」
3. コープランドとアメリカ音楽

今回は、より作曲家や作品の背景、作品内容について掘り下げていて、ティルソン・トーマス(MTT)の作品を巡る旅と音楽を組み合わせたドキュメンタリーと、全曲のライブ演奏の二部構成。

これは11月にアメリカのテレビPBSで放送されたものが、DVDになっています。

さらに今回はこれらに連動したWEBコンテンツにも注目。

今後、順番にご紹介していきます。
ティルソン・トーマス(MTT)が自分の練り上げた音楽を実現させるための道はまだまだ続きます。
KEEPING SCORE チャイコフスキー編に、興味深いシーンがあります。

ティルソン・トーマスはコンマスと曲について、リハーサルプロセスが始まる前に、毎回お互いの認識を共有するために検討の場を持つというのです。

MTT: 始めにこういうイメージでやりたいと話をする
    次に、コンマスの意見を聞く
  ~しばらくMTTがピアノで伴奏しながら演奏~
MTT: (ここはボーイングを)ダウンからでどうだろう?
コンマス: (ちょっとやりにくそう)
  ~しばらくいろいろ試す~
コンマス: good!
MTT: (納得していない)もう一度弾いてみて。

これは、ソロがあるオーケストラメンバーとの間でも繰り広げられ、オーボエ首席と、2楽章冒頭のソロについて、アーティキュレーションの細部まで詰めるのです。

しかも、本番の映像を見たら、あんなに打ち合わせをしたのに、本番でもアーティキュレーションの細部まで指示を出している!

このDVDを何度も見た私は、おかげでここのメロディーをティルソン・トーマスの指示どおりに完璧に再現できます。

恐るべしティルソン・トーマス。
プロフィール
 

潮 博恵

Author:潮 博恵
MTT&SFSの音楽センスと革新的な活動に感銘を受け、ブログを開設。

【続・徹底研究】ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団で、よりわかりやすく彼らの活動と最新情報をご覧いただけます
続・徹底研究MTT&SFS


著作権分野の英文契約書作成等の行政書士をやっています。
うしお行政書士事務所

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