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MTT&SFS雑記 | 2007/03/31(土) 12:00
サンフランシスコ交響楽団の首席ホルン奏者のRobert Wardさんは、演奏はもちろん、楽器を構える姿がばっちり決まっていて素敵です。

昨年春に、アンサンブル・ウィーン=ベルリンを聴きに行き、シュテファン・ドールのあまりのうまさに、「あんたについて行くよ!」と思ったのもつかの間、秋になってサンフランシスコ交響楽団のビデオを見て、あっさり乗りかえてしまいました。

このWardさん、見た目は普通のハゲのおっさん(失礼)なのですが、そんなことは超越したかっこよさがあります。サンフランシスコでも、ホルンのメンバーは人気みたいで、いつも大きな拍手です。

それにしても、こんなにホルンを構える姿が決まっている人は、見たことがありません。

なぜか?

私は、最近その理由を発見しました。

彼はなで肩なのですが、頭に毛が少ないことによって顕になっている頭のカーブと、なで肩のカーブ、そしてホルンの楽器のカーブの3つが平行的であるために、視覚的に美しいのです。

ともかく奏者にとって、姿勢が美しいということは重要です。

これからもWardさんを応援します!

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クラシック音楽のアーティストでベストドレッサーを選ぶなら、私は迷わず、メゾ・ソプラノのフレデリカ・フォン・シュターデを選びます。

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衣装のセンスはもちろんですが、選曲といい、舞台に現れてから歌い終わって去るまでの全てがチャーミング!

先週、NHKのBSでやっていた、メトロポリタン・オペラのガラコンサートでも健在で、とてもうれしかったです。

ルネ・フレミングも毎回、ヘアスタイルも衣装も素敵だと思いますが、存在自体がチャーミングという点で、私はシュターデが一押しです。

日本人から選ぶなら、佐藤しのぶさん。衣装も立ち居振る舞いも、頭二つくらい抜けている感じです。

何だか歌手ばかりですが、やはり歌手は、本人から発せられるエネルギーのレベルが違うので、印象に残るのでしょう。
今年ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団が初参加する、ラインガウ音楽祭のプログラムが発表になっています。

<プログラム>
9月9日 場所/アルテオーパー(フランクフルト)
アイヴス:交響曲第3番
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番(ピアノ=ブロンフマン)
チャイコフスキー:交響曲第1番

この音楽祭、7・8月に一番集中しているものの、4~12月にかけて様々な場所で展開されます。方々に場所が離れていても一つの音楽祭とは、どういう状態なのでしょうか?一度のぞいてみたいです。

さて、プログラムはルツェルンにもって行くものと同じ(アイヴスは3番に変更になったのでしょうか)です。

海外公演で必ずプログラムにアメリカものを入れるティルソン・トーマス(MTT)。他のアメリカのオーケストラで、こんなに取り上げているところはないように思います。

おそらく彼にしかできないことなのでしょう。ぜひこの姿勢を貫き通していただきたいです。

この他に参加する、エディンバラ、ベルリンの音楽祭のプログラムは、4月に発表の予定です。

ラインガウ音楽祭ウェブサイト
ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団のKEEPING SCORE プロジェクト、ラジオ版のタイトルは、「The MTT Files」。

これはティルソン・トーマス(MTT)が、そのキャリアを通して培ってきた、音楽やアートについてのアイディアや、偉大なアーティスト達への回想が詰まったものという意味だそうです。

そこで思い出されるのが、KEEPING SCORE チャイコフスキー編で登場するMTTの家。

資料室のような部屋に入ると、右側にスコアがずらりと並んだ棚があるのですが、左側は壁一面に同色同型のファイルが並んでいます。

ひょっとして、これがMTTファイル?

MTTは、きっちり整理された音楽ですが、部屋もすっきりしているし、情報整理もきっちりしてそう。

スコアも特別に製本したようで、全部が同じ装丁です。

MTTのステーショナリーで目に留まったものといえば、スコアに書き込みする時に使っている、一本で赤と青に分かれている色鉛筆。

この色鉛筆、私が会社員だった時、その会社でよく使われていたのです。どういう時に赤で、どういう時に青か、マークの仕方についてのルールまでありました。

だからこの色鉛筆は、私の中では極めて日本的な企業文化の象徴だったので、MTTが使っているのを見た時は、びっくりしました。日本製なのでしょうか?

それから、サンフランシスコ交響楽団が公開している、マーラーの録音を編集中のMTTの写真。一緒に写っている机の上のペンケースが無印良品!

日本製品は、以外なところでもがんばっているのでした。

サンフランシスコ交響楽団のユース・オーケストラやニューワールド交響楽団のウェブサイトを見ていると、「メンター(mentor)」という言葉がよく出てきます。

話題のデュダメルの経歴にも出てきます(バレンボイム、アバド、ラトルをメンターとすると書いてある)。

この「メンター」という言葉は、ギリシャの叙事詩を起源としていて、「助言者」「教育者」「恩師」などの意味で使われているとのこと。

そしてここから派生した「メンタリング(mentoring)」とは、メンターとの対話による気づきと助言を通し、自発的・自律的な発達を促す人の育成、指導方法をいうそうです(以上は、語源由来辞典及びウィキペディアを参照)。

日本では、起業家や女性管理職を育成する場面で「メンター」という言葉が使われるのは目にしますが、音楽教育の場面では目にしません。

彼らは、プロの演奏家になるために、ロールモデルのような存在との対話を通して、プロの演奏家としてのメンタリティを身につけることを重要視しているように感じます。

このメンタリティが、プロになるための原動力として不可欠なのかも知れません。
KEEPING SCOREのコープランド編では、アメリカ的なものとは何か?ということがテーマになっています。

そこで出てきたキーワードが、「シンプル」「自由」でした。

やっぱりそこなのかなと思います。

私は、ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団に興味を持つまで、アメリカのオーケストラに特に興味もなかったし、アメリカという国についても取り立てて考えたこともありませんでした。

でも、彼らに興味を持ち、このブログを始めて感じるのは、彼らを考察するのは非常に楽しいということです。

もちろん私が見ているのは、ほんの一部分でしょう。でも、明と暗、正も負も、ものすごくいろいろなものが混ざっている中から、思いもよらないような発想のものが出てくる面白さ。

そして発想が自由で、外に開かれている感じ。彼らは、音楽も活動も眉間にしわが寄っていなくて、明るい。

多くの支援者同様、私もそうであるように、彼らにはどこか応援したくなるようなところがあって、不思議です。

私自身、彼らからたくさんの元気をもらいましたし、こういう素晴らしい活動を紹介することができたことに心から感謝しています。
ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団のKEEPING SCORE ラジオ版の放送が、いよいよ4/1から始まります。

まずは、地元ベイエリアのFM局からなのですが、American Public Media と組んでいるので、全米で放送される模様。インターネットラジオでも聴けることを願っています。

このラジオ版は、「The MTT Files」というタイトルで、1時間番組が8回シリーズ。毎回テーマに応じて、MTTと交友のあるゲストを招いて、MTTとのトークと音楽で構成されます。

ハイライトは、ジェームズ・ブラウンがゲストの回。亡くなる少し前に収録が済んでいたとのこと。本当に貴重だと思います。

各回の主な内容は、次のとおりです。

第1回 これは音楽と呼べるか?
音楽とノイズの境目は何か?ゲストは、現代音楽の作曲家Steven Mackey。

第2回 アメリカ音楽とは? その1
コープランドの初期のあまり知られていない女声コーラス作品「不道徳」(すごい曲名!)を素材にして探る。

第3回 アメリカ音楽とは? その2
コープランドのモダニズムからポピュリズムへの変遷とその背景について。彼の交響詩をニューワールド交響楽団とのリハーサルから取り上げる。

第4回 ストラヴィンスキーの著作権ブルー
ストラヴィンスキーが「火の鳥」で大成功したにもかかわらず、著作権が保護されていなかったためにお金に苦労した話。「火の鳥」の自動演奏楽器版を取り上げる。

第5回 最後のヴィルトゥオーゾ
ヤッシャ・ハイフェッツを題材に超絶技巧とは何か、どうしたら会得できるのかを探る。彼と同じ楽器を現在使用している、サンフランシスコ交響楽団コンサートマスターのAlexander Barantschikと共に。

第6回 フロイトとバレエ
舞踊家ナタリア・マカローヴァをゲストに、心理的なものを音楽がどう取り込んだかについて、「ジゼル」とそれ以後を対比させて取り上げる。

第7回 演奏するのはブーレーズ、でも聴くのはジェームズ・ブラウン!
現代音楽に傾倒していた大学時代に、ジェームズ・ブラウンを聴いて、音楽観が変わったというMTTの彼へのインタビューを中心に。

第8回 五世代を越えて
MTTがピアノを師事したジョン・クラウンは、遡っていくとローゼンタール・リスト・ツェルニー・ベートーヴェンへと続くことから、教師が技術面などだけでなく、音楽的な思想を次の世代へ受け継がせるにはどうすべきかを探る。

American Public Mediaの The MTT Files ウェブサイト
KEEPING SCORE ラジオ版ウェブサイト
ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団の、KEEPING SCORE「春の祭典」のドキュメンタリーが、第47回ローズドール賞(Rose d‘Or)のベストアーツドキュメンタリー部門にノミネートされました。

Keeping Score: Rite of Spring Keeping Score: Rite of Spring
Stravinsky、Sfs 他 (2006/11/14)

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これは、1961年にスイスで創設された、世界で最も権威あるテレビ祭の一つだそうです。アメリカから選ばれたのは、40ヶ国が参加しての64ノミネートの内、KEEPING SCOREだけだったとのこと(発表は5/9)。

昨秋のKEEPING SCOREのテレビシリーズは、300万人以上が視聴したと紹介しましたが、ヨーロッパや中国(!)でも既に放送されたとのこと。

未放送のスペイン・スウェーデン・チェコでも放送が決定しているそうです。

日本は?

日本でもぜひ放送して欲しいです。音楽の内容に真正面から切り込んでいて、なおかつエンターテインメントとして楽しめる作品です。

クラシック音楽の裾野を広げるとか、音楽の魅力を伝えるとはどういうことなのか?今やこの最先端の活動を見ずには語れません。

ローズドール賞(Rose d‘Or)ウェブサイト
今日は、音楽の話題ではないのですが、最近読んだ田崎真也さんの「接待の一流」という本が、あまりにも「素晴らしい!」と思ったので、このブログで紹介してしまいます。

接待の一流  おもてなしは技術です 接待の一流 おもてなしは技術です
田崎 真也 (2007/01/17)
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この本は、いわゆるマニュアル本ではありません。

接待やデートなどの場面で、相手やお店の人といかにコミュニケーションをはかり、より食事やお酒を楽しむ場にするかということについての考え方を述べた本です。

そして、すべては相手に対する気遣いなのだと説いています。

私が一番うなったのは、接待のシチュエーションで、こういう場合はこうしたらいかがでしょうかと田崎さんが提案している部分です。

本当にスマートでさりげなくて、私もこういうことができる人になりたい!と思いました。

男性も女性も(特に男性諸氏には読んでいただきたいですが)、接待でもプライベートにも使えて、食事以外のことにも応用できる普遍的なメッセージがある本だと思います。
サンフランシスコ交響楽団のKEEPING SCOREの教育プラグラムの様子が、動画で見られるようになりました。

主要教科の授業で、表現やコミュニケーションの幅を広げるために音楽を効果的に用いる試みが、実際に見られます。

例えば、ベートーヴェンの運命を聴いて、ベートーヴェンの心情を想像して彼の肖像画に色をぬることと、文章を書くことを組み合わせるとか、コープランドの音楽と彼が伝えようとしたことを多面的に扱ったもの。学年が上になると、パソコンを使って音楽を創る授業など。

先生たちへの研修の様子やインタビュー、シンフォニーのメンバーや教育プログラム担当者のコメントもあります。

非常に興味深い内容になっています。私も参加してみたいです。

こちらのKEEPING SCOREの教育プログラムウェブサイトで見られます
KEEPING SCOREの教育プログラムについて過去の記事


ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団が、6月に開催するプロコフィエフ・フェスティバルのチケットの一般売りが、ウェブサイトで始まりました。

これは、11日間で4プログラム全7回の公演を行うもので、今まで定期会員向けに優先販売されていました。単発のスペシャルイベントですから、セット販売はされていません。

販売状況を見ると、初日こそ支援者イベントがあるので値段の高い席は埋まっていますが、他はほとんど残っています。

これの意味するところは、単発売りという方法だと、サンフランシスコ交響楽団でもチケットがすぐに売れたりはしないということ。

言い換えれば、定期会員がセットでチケットを買う部分のベースがいかに彼らの経営にとって大きいかということです。これは、同じように定期会員の安定基盤を作ることができれば、他のオーケストラでも毎週4回のコンサートを開く状態にもっていくことも可能だということだと思います。

彼らはこれからどうやってこのチケットを売っていくのでしょうか?6月のフェスティバルのふたを開けたときが楽しみです。
ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団の音楽を聴いて彼らに興味を持ち、その活動を日本のアートマネジメントにかかわっている方にも伝えたいと思った私。その過程で日米のアートマネジメントの違いを感じました。

それは、アメリカのアートマネジメントはアートにくっついているが、日本のアートマネジメントはアートから独立して存在するということです。

具体的にご説明しましょう。

【アメリカ:サンフランシスコ交響楽団の場合】
ミッション:ハイクオリティの音楽を提供する
      ベイエリアの文化生活を豊かにする

そのためのサンフランシスコ交響楽団の音楽(=ソフト)

この音楽を実現するためのマネジメント

ここでは、マネジメントは彼らの音楽を実現するためのものですから、サンフランシスコ交響楽団のマネジメントにとって、彼らの音楽は他では代用できない存在です。


【日本:公共ホールの場合】
ミッション:地域の文化生活を豊かにする

そのための公共ホールの役割(=ハード)

それに適した芸術(=ソフト)

ここでは、マネジメントは公共ホールというハードに存在していて、芸術はホールが提供するサービスのポートフォリオに組み込まれて存在します。したがってホールにとって個々の芸術は入れ替え可能なものです。

【日本:アートNPOの場合】
ミッション:社会的問題の解決(地域活性化・高齢者・子どもなど)

そのためのアートNPOの役割(コーディネート・橋渡し的役割)

手段となる芸術(=ソフト)

ここでは、芸術は社会的問題を解決するための手段として存在します。したがって、ここでもその社会的問題の解決にとって、個々の芸術はこれでなければという存在ではありません。


もちろん日米双方で、ここであげたのとは違うパターンがあると思います。しかしながら、日本のアートマネジメントの人材は、圧倒的にホールやNPOなどの中間団体に存在するように思われます。主役であるアートの中身をどう発展させていくのかということと、アートマネジメントの間に距離があるように感じられるのです。

私は、NBSニュースの佐々木忠次さんのコラム「起承転々」を毎回楽しみに読んでいます。ここ最近のコラムを要約すると、ペラペラセットのドサ回りオペラの来日公演と、二流劇場を一流であるかのように宣伝するマス・メディアの影響で、一流の来日公演が迷惑しているというような内容でした。

ペラペラセットのドサ回りには笑ってしまいました。あまりに言い当てていたので。

確かにオペラの来日公演はものすごく増えたと思いますが、私はNBSのオペラのお客さんは、NBSのオペラとここでいうドサ回りオペラを比較して選ぶのか?と疑問に思いました。

ドサ回りの来日公演が増えたことで本当に割を食っているのは、日本でオペラをやっている人たちなのではないのかと思うのです。

NBSのお客さんが比較するものは、5万円あったらできる他のこと。温泉旅行とか都心のホテルのスパでのんびりすること、とびきりおいしいものを食べに行くことなど。少なくとも私はこれらと比較します。

海外の劇場のチケットがインターネットで簡単に入手でき、現地で観ることが昔より容易になったことで、同じ劇場の現地の公演と比較されているのかもしれません。

さらにもっと問題なのは、ペラペラセットのドサ回りオペラは結構楽しめて満足度が高いということです。

私もよく行きます。家の近くの公共ホールに来てくれて、割安感があって2時間楽しく過ごせます。もともとハイクオリティのプロダクションとの比較対象ではないので、質についても全然気になりません。

それどころか、旧東欧圏のアーティストの方々は、全く無名であっても観客に楽しんで聴いてもらうという姿勢がパフォーマンスに表れていて感心します。これはなぜかと考えると、やはり芸術家が職業として社会的に認知されているからなのでしょうか。

ともかく、玉石混淆であっても、いろいろな選択肢が出てきたこと自体は肯定していいと思っています。
ある人事コンサルタントの方から、「プロフェッショナルを育てるのに一番良い方法は、プロフェッショナルと一緒に過ごさせることである」というお話を聞きました。

これは、ティルソン・トーマス(MTT)が、ニューワールド交響楽団でとっている方法そのものです。

能力と才能を有する選ばれた若手演奏家に、究極のプロフェッショナルである彼と時間を共有させ、プロフェッショナルとはどういうものか感じ取ってもらう。

このことの成果は、既に630名もの卒業生を世界中のオーケストラに輩出していることで証明済です。

大前研一さんが、トップの人間をどれだけ伸ばすことができるかが国力を決めると言っていますが、MTTの活動はまさにそれです。

【他との違い】
若手を育成する活動は、多くのアーティストがやっていますが、ティルソン・トーマスの活動が他と違うのは、

1.短期間のセミナーなどではなく、3年間という時間をかけた常設のものであること。
2.アントレプレナーシップがある演奏家を育てるということを明確にうたっていて、自発的な企画などのチャンスを与えていること。
3.アメリカ国内はもとより、ヨーロッパへの演奏旅行などで評価を高め、リクル-ティングにつながるフォローまできっちりやっていること。
4.彼から学んだことを教え子たちが次に伝えるというプラスの連鎖につなげていること。

例えば、サンフランシスコ交響楽団の首席ティンパニストのディヴィッド・ハーバードは、ニューワールド交響楽団の出身なのですが、彼はオーケストラで活躍している他にも、PMFの講師として後進の指導をしています。

【地域で芸術家を育てる発想】
ティルソン・トーマスがプロの演奏家を育てることにどれだけ本気かということは、彼がこれを始めるときに最初に専用の劇場(704席)を確保したということからも窺えます。

ここではシーズン中、週3回くらい様々なスタイルの演奏会をやっています。チケットは無料~10ドルくらいのものから、MTT出演の150ドルするものまでありますが、とにかく地域の人々に観客・ボランティア・支援者として広く参加してもらいながら演奏家を育てる仕組みになっていることが大きな特徴です。

日本の音大で一般公開している演奏会でも、地域で応援するという雰囲気ではないし、学校が学生に提供する人前で演奏する機会も限定されているように思います。

ちょっとした発想の転換で、地域の人も一緒に芸術家を育てていく仕組みが築けるのかもしれません。

ニューワールド交響楽団を紹介する過去の記事
ニューワールド交響楽団ウェブサイト
インターネットマーケティングの本を読んでいたら、ウェブサイトの背景の色を何色にするかで受け取る側の印象が全く違うというくだりがありました。

サンフランシスコ交響楽団のウェブサイトは、クリーム色が基調で、これに赤がアクセントカラーになっています。彼らはよくベイエリアをイメージさせるブルーを使っていますが、ウェブサイトはクリーム色です。

彼らの至上命題は、クラシック音楽に親しんでもらうことですから、この暖かみがある色を選んでいるのだと思います。

これは、他のアメリカのメジャーオケのサイトと比較するとよくわかります。他は白×黒ベース、写真がきれいでシャープな感じ。ちょうどシャネルやプラダなどの高級ブランドのお店の黒×白基調から受けるイメージに似ています。かっこいいけれど、身近ではない感じ。

一方サンフランシスコ交響楽団は、これらに比べるとかっこよくないけれど、距離を感じさせません。そして、トップページに音楽監督名とオーケストラ名をセットで表示しているのも、サンフランシスコ交響楽団だけだという点も要チェックです。

サンフランシスコ交響楽団

【他のアメリカメジャーオケ】
ロスフィル  
サロネンはがんばっています。プログラミングも何もかも。
ニューヨークフィル  
ニューヨークフィルも幅広い活動をやっています。いつもSFSばかり取り上げてごめんなさい。
シカゴ響  
客演の指揮者やソリストって、同じ月にアメリカの主要オーケストラを巡回するシステムみたいです。

【ヨーロッパ】
お知らせ機能重視。アメリカ勢に比べ、ウェブサイトで顧客を増やそうという発想がそもそもないのかも。

ウィーンフィル  
比較の対象にもってこいのサイト。
ベルリンフィル
カラヤンサーカスの黄色?

【日本】
では、日本勢のサイトはどうでしょう?

N響

アシュケナージの影がないのが悲しい。
日フィル
各楽団員の紹介サイトはナイスです。
6番と1週間違いで録音された1番。6番の印象があまりにも鮮烈だったので、その陰に隠れてあまり目立ちませんが、これもMTTのマーラーが炸裂しています。

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KEEPING SCOREの中で、どう振るかを歌いながらひたすらシミュレートしている姿を見せているMTT。彼は音のエネルギーがはじける場面で、そこに入る前によく一瞬間をあけるのですが、彼はこれも何度もシミュレートしていて、「stop!」とやっているのです。わが家ではビデオを見たとき、この「stop!」がピンポイントで大ウケでした。

ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団のマーラーシリーズでは、録音も大きな話題になりましたが、音の瞬発力というか、瞬間的なエネルギーをよく捉えています。

そして、この1番でも特に4楽章。一瞬の「stop!」の後のエネルギーの放出がすごいです。KEEPING SCOREのビデオと合わせて聴くと、「stop!」をやっているMTTの姿が思い浮かび、2倍楽しめること請け合いです。

MTTのシミュレートって、イチローが打席をイメージする話と同じだと感じさせます。2人は傾向が似ている?


*補足
この記事、「stop」の話ばかりですが、演奏の方は1楽章からうなってしまう表現が目白押しです。ただ、4楽章まで行って「stop」の箇所を聴くと、それまでの個々に感受したものがすべてふっとんでしまうような、そんな破壊力があるのです。「stop」抜きで考えても、いろいろな面で一度は聴く価値がある演奏だと思います。

ちなみにうちでは「MTTのstop」と呼ばれ、演奏聴いたときに「これはstopやりすぎだ」などという会話がなされたりしています。慣れてくると「あ、stopがくる」という予測ができるようになり、そして彼はその期待を裏切らないので、そこでまた楽しめます。
サンフランシスコ交響楽団は、多くの支援に対する感謝の表し方も上手です。どのような工夫をしているのかご紹介しましょう。

● 最も顕著なのは、各オーケストラメンバーのポスト自体に、「○○´s chair」(○○には寄付者の名前が入る)と名前がついていることです。彼らは支援を受けるとき、これで何人の奏者を何年賄えるかということを示します。

● デイビスホールの座席の一つ一つに、寄付者の名前が入っています。これは、アメリカの劇場ではよく見ます。

● マーラーのCDのブックレット。ページをめくると、「この方たちのおかげでこのCDを出せました」と、支援者名が並んでいます。こういうことが書いてあるCD、私は初めて見ました。

● KEEPING SCOREのDVD。再生すると最初に、「このプロジェクトはこの方たちのおかげで実現できました」という画面が現れます。

● 国内外のツアー。一都市ごとに、「この方たちのおかげでツアーが実現しました」と表示されています。

● 一回ごとのコンサートにも、それぞれスポンサー企業の表示がされています。
詳細は過去の記事へ

● 究極の感謝。長年シンフォニーを支援した女性の方の90歳のお祝いに、ティルソン・トーマス(MTT)が作曲して、謹呈した曲があります。曲の題名がその方のお名前。この曲は来シーズンに再演するらしいので、どんな曲なのか(怖いもの見たさで)聴いてみたいです。

支援者に「支援して良かった」と満足してもらうために、支援者をまとめて表示するのではなく、とにかく細分化して、このコンサート、このプロジェクトというように、支援者の貢献とその効果を明確にしている点が、うまいと思います。


3月3日(土)に開催された「トヨタ・アートマネジメントフォーラム2007」で、ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団の活動を紹介するちらしを置かせていただきました。

主催者の皆様、ちらしを手にとって下さった方、このブログに興味を持って下さった方、すべての方々に御礼申し上げます。

今回、「サンフランシスコ交響楽団の活動がすごい」という声が上がったのが、アートマネジメント情報のアンテナからではなく、「彼らの音楽は素晴らしい」と感じた音楽ファンの中からだったということは、ある意味芸術活動の本質をついているのではないかと思います。

やはりアートが人を動かせるのは、アートの中身のパワー以外にはないと私は思っています。

ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団の活動のご紹介が、日本で芸術活動やアートマネジメントに携わっておられる方のご参考になれば幸いです。

今後ともよろしくお願いいたします。




顧客志向というと、市場のニーズを探り、それに合致した商品を開発して市場に提供するというマーケット・インの発想が重要だといわれています。

では、ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団は、この点においてどういう行動をとったのでしょう?

まず、【音楽面】

音楽面での、ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団は、マーケット・インではありません。

なぜなら彼らは、自分たちから観客に音楽でインスピレーションや、新しい発想を与えるのだというスタンスだからです。

したがって、彼らのプログラムを見ると、知らない曲や現代ものも相当数入っています。

でも、こういう曲を取り上げるかわりに、聴く人にあらかじめヒントやアイディアになる座標軸を示してフォローしているということは、ご説明しました。

クラシック音楽の裾野を広げるというと、わかりやすい曲、司会付、演奏時間短めなど、集中力を必要としない方向に傾きがちです。しかしながら、ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団がこのようなアプローチをとりつつも、若い新たな観客を集めたという実績は、多くのことを示唆していると思います。

次は、【サービス面】

サービス面に関しては、彼らは徹底的にマーケット・インで、芸術団体というよりもサービス業に徹しています。

彼らのやっていることは要するに、経営基盤である定期会員を大事にするということ、新しい顧客にとってバリアになるものをできる限りなくすこと、大勢に影響しないものにはこだわらないということの3点に尽きるのかなと思います。

<詳しくは、過去の記事へ>
サンフランシスコ交響楽団のサービス、ここが便利
サンフランシスコ交響楽団の定期会員サービス
オンラインのチケット購入
コンサートコンシェルジェ
コンサートをより楽しんでもらうための工夫
ディスカウントチケット発売中!
ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団は、この問題に力を入れて取り組んでいます。どのような取り組みなのかご紹介しましょう。

【問題:漠然と難しく感じる】
彼らは、KEEPINNG SCOREシリーズの初回に、これを取り上げました。彼らが伝えたメッセージは、

あらゆる芸術は、もとをたどれば、生きるとはどういうことかをテーマにしている。クラシック音楽も人々の生活や感情など、人間の本質と結びついたものであり、私たちの身近に既にあるものである。

というもの。チャイコフスキーの交響曲第4番を、シンプルなものに還元するという手法で、このメッセージを伝えています。


【問題:聴いても、ピンとこない】
これについて、ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団が出した答えは、「クラシック音楽を楽しんで聴くためには、座標軸が必要だ」というものです。彼らのあらゆる仕掛けは、この座標軸をもってもらうためのものといえます。

では、座標軸とは何か?

曲がどのような素材からできていて、作曲家が伝えたかったことは何か、どういう点に工夫したのか、その曲は歴史的にどこに位置していて、過去とどう関係していて、未来にどう影響を与えたのかなど、聴く人にとってヒントやアイディアになるものが座標軸なのだと思います。

彼らがやっているプレトークも、ファミリーコンサートのテーマも、KEEPING SCOREの昨秋のシリーズも、内容はすべてこれについてです。

では、こんな面倒なことに効果があるのか?

私はあると思っています。実際、私はコープランドの音楽を聴いたことがなかったのですが、KEEPING SCOREを見た後、そこで取り上げられていなかったクラリネット協奏曲を聴いたとき、どうしてこういう音楽なのかを自分の中でクリアに感じたのです。私と同じクリア感を、ベートーヴェンでもストラヴィンスキーでも感じた人がいたら、ものすごい効果だと思います。


【問題:曲がたくさんありすぎて、何を聴いたらいいかわからない】
これも、難しいと感じさせる一因でしょう。

彼らは、コンサートコンシェルジェで、クラシック音楽を分類して見せています。
曲想とか楽器の編成、時代区分などを視点にもつことで、膨大な情報の中から自分で選ぶことができることを示すことも、座標軸をもってもらうことにつながるのでしょう。
今まで、サンフランシスコ交響楽団の活動をいろいろ紹介してきましたが、今日は、彼らがコンサートの観客を増やすために、どのような活動をしてきたか整理します。

観客を増やすためには、
方策1.既存の顧客の満足度を上げてファンになってもらう(=リピーター)
方策2.新しい顧客を開拓し、裾野を広げる

この2点を実現しなければなりません。

では、このために、どういう問題があって、それにどう対処したのでしょうか?

【問題:コンサートを聴いてもつまらない】 (方策1)
ここは、ティルソン・トーマス(MTT)が能力を発揮した部分です。

● コンサート毎のプログラミングに、何か共通するものを設定して、それに様々な角度からスポットライトをあてることで、観客にインスピレーションを与えるような内容にした。
プログラミングは、欧米のメディアが彼らの活動を賞賛するときに、必ず言及しています。私もそんなことは知らずにコンサートに出かけ、プログラミングが絶妙だと最初に思いました。
● 演奏者の意識を自己満足ではなく、観客の感性に届く演奏をするという方向に変え、プレゼンテーションも観客を惹きつけるよう工夫した。
● 楽しんで聴いてもらうための座標軸を提供した(詳細は、別途説明します)。


【問題:クラシック音楽よりも他にもっと楽しいことがある】 (方策1・2共通)
これは、音楽に競争力をつけることが最優先です。

● 自分たちの音楽の魅力を高めることに注力した。
具体的には、一回毎のコンサートのクオリティを上げることはもちろん、マーラーの録音シリーズ、ルツェルン等国際的な音楽祭への出演などで、国内外での評価を上げた。
● ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団のコンビでのブランド価値を上げた。
彼らの強みは、音楽がとにかくスタイリッシュ&クールなこと。若い観客を惹き込むという点で、これは大きいです。
● デイビスホールを来たいと思わせる場にする。
空間がハイセンスなのもそうですが、 彼らは、とにかく空席があるままコンサートを開かないということに全力投球していています。このにぎわい感が、また来たいという気持ちにさせるのです。
● 社会にとってサンフランシスコ交響楽団が必要だという存在になる。
コミュニティや教育での様々な活動をはじめ、彼らの音楽の魅力でそう思わせたパワーにはすごいの一言です。


【問題:クラシック音楽に興味がない、もしくは聴いたことがない】 (方策2)
興味をもってもらうための活動としては、

● 無料コンサートを開催、そこで最高の音楽を提供する。
● 様々な教育プログラムを通し、子どものうちにクラシック音楽に触れてもらう。


【問題:敷居が高いイメージがある】 (方策2)
これは、入り口部分での次のような工夫です。

● ウェブサイトのコンサートコンシェルジェのコーナーなどで、初めての人の不安を取り除くよう工夫。
● 無料コンサートやファミリーコンサートなど、入り口部分のきっかけになる場を作った。


【問題:クラシック音楽は難しい】 (方策1・2共通)
ここは、彼らも力を入れて取り組んでいる部分なので、別途取り上げます。


【問題:コンサートチケットの値段が高い】 (方策1・2共通)
うまく割引などのメリットを提示しながら、定期会員を増やし、新しい顧客も呼び込み、満席でコンサートを開けるように工夫しています。

● 売れ行きの鈍いコンサートを思い切って割り引いてしまう。
● 値段を抑えた席のカテゴリーを設け、そこは定期会員の席にせず、新しい顧客が入って来やすいよう配慮した。
● 定期会員のラインナップ・特典を充実させる。
● ファミリーコンサートなど、値段を抑えたコンサートの提供。
● 学生やグループ割引などの制度。
ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団の活動が、なぜ評価されるのか、他とどう違うのか、体系別に記事を整理しています。

【基礎情報】
地元の支持(年間観客動員数について)
活動状況(年間のコンサート回数等について)
KEEPING SCOREプロジェクトの紹介(現在、最も注目されている活動)


【経営戦略】
コンサートの観客を増やすこのブログで最も伝えたいことその1
クラシック音楽は難しいか?このブログで最も伝えたいことその2
指揮者とオーケストラのブランド戦略
サンフランシスコ交響楽団の成功と社会の変化
音楽監督に求められるリーダーシップとは?


【コンサートの内容】
コンサートのラインナップ
客席の空気(彼らがいかに支持されているかがわかります)
感性への刺激(さらに、コンサートの何が違うのか)
プロコフィエフ・フェスティバル(プログラミングのセンス)


【サービス面】
サンフランシスコ交響楽団のサービス、ここが便利
サンフランシスコ交響楽団の定期会員サービス
オンラインのチケット購入(本当に便利です)
コンサートコンシェルジェ
コンサートをより楽しんでもらうための工夫
ディスカウントチケット発売中!


【資金調達】
サンフランシスコ交響楽団の資金調達能力
ビジョンを語るリーダー(これがなければ、資金は集まりません)
スポンサー名は表示が命?


【支援組織】
ボランティア評議会(大きな役割を担っている個人による支援組織)
ボランティアで参加する(大活躍しています)
フェスティバルの支援イベント(具体的な活動の紹介)


【コミュニティ活動】
盛んなコミュニティ活動(どんな内容なのかを紹介)
春慶節のコンサート


【教育活動】
教育プログラムのご紹介
ファミリーコンサート
KEEPING SCOREの教育プログラム
サンフランシスコ交響楽団のユースオーケストラ

サンフランシスコ交響楽団の活動では、ボランティアが大活躍しています。彼らがどのような役割を担っているのかをご紹介しましょう。

【ボランティアのお仕事】

●子どものためのコンサート
コンサート前に教室を訪問して、コンサートに向けたガイダンスを行う講師。

●オフィス事務
データ入力、招待状の作成、スタッフのアシスタントなど。

●SFSショップ
販売、在庫管理。

●デイビスホールの見学ツアーの案内

●オープンリハーサルのホスト

●スペシャルイベントのスタッフ

●デイビスホールのコンサートにおける席の案内など
彼らは、チケットをもぎりません。確認するだけです。改めて考えると、もぎる必要ってあるのでしょうか?

私が行ったときは、60歳台と思しき方も案内係として活躍されていました。


【ボランティアへの報奨】

ボランティアのメリットとしては、優先していろいろな案内がくること、スペシャルイベントへの招待などがあります。

年間を通して活躍したボランティアの方には、表彰があります。

これは年間2人だけ選ばれるのですが、感謝状みたいな軽いものではなく、ボランティア評議会から大々的に称えられるというもの。


【ボランティアの募集】

彼らは、これらのボランティアについて、求められる能力や拘束時間・頻度などを詳細に示して募集。定期的にボランティア希望者に対するガイダンスを行うなどしています。
サンフランシスコ交響楽団には、ボランティアで構成されるシンフォニーの支援組織があります。30歳代から80歳代までの幅広い層約1,500人が参加。

彼らは、ボランティアとして教育プログラムでの講師・イベントの企画・下部の支援組織の代表・オフィスの事務などで活躍しています。

さらに、資金調達や新しい聴衆の開拓にも大活躍、なんとこの組織だけで年間1百万ドル(約1億2千万円)以上集金してくるというすごさ!

これは、彼らが各地区のとりまとめのような役割を果たしていることによると思われます。

シンフォニーにはこの他、SYMPHONIXという支援組織があり、こちらは30~40歳代のビジネスパーソン約400人が参加。交流会みたいなかたちで様々な支援活動を行っています。

日本のオーケストラのコンサート会場で、来ているお客さんを見ていると、やはり働き盛りの30~40歳代の男性の層が薄いように感じられます。クラヲタ系の方はいるのですが、ビジネスパーソンのたしなみとして文化を楽しむ雰囲気がない。

ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団の音楽は、プログラミングも中身もスタイリッシュ&クールですから、この辺りの層を取り込めるのかもしれません。
サンフランシスコ交響楽団には、25年前から(1981年創設)ユースオーケストラがあります。

これは、ベイエリアのプロになる前の若者(12歳~21歳)100名以上がメンバーになっていて、シンフォニーの教育プログラムの一つと位置づけられています。

リハーサルもコンサートもデイビスホールで、参加費無料(!)です。

サンフランシスコ交響楽団のメンバーがコーチ・メンターとなり、パート練習も指導。

ユース専任の指揮者の他に、ティルソン・トーマス(MTT)はもちろん、毎シーズンシンフォニーに登場する指揮者やソリストも指導にあたるという豪華さ。

年間3回のコンサートの他に、国内外へのツアーも実施しており、高い評価を得ています。

ユースオーケストラ詳細はこちら
今日は、サンフランシスコ交響楽団が地域に貢献し、また新しい聴衆を開拓するために重視している、コミュニティ活動をご紹介します。

内容としては、他の機関とも連携したファミリー向けの演奏、チケットの提供、地域イベントへの参加などがあります。主なものは、以下の通りです。

【無料コンサート】
年3回実施。最大規模のものは、毎回17,000人以上を動員。他は、各5,000人~10,000人規模。

いろいろなジャンルのアーティストが参加する、無料の野外フェステイバルへの参加や、郊外の大きな公園でのピクニックコンサートなど。ジャズのトリオと共演するなど、デイビスホールのコンサートとは違った楽しさも。

面白いと思ったのは、シーズンオープニングのローンチコンサートを、平日のお昼休みの時間帯に、オフィス街近くの公園でやったりしていること。

こういう無料コンサートで、全部ではありませんが、ティルソン・トーマス(MTT)と登場して最高の音楽を提供するというところが、地元の支持を得ている理由の一つではないかと思います。

【チケット・リーチ・プログラム】
無料でデイビスホールでのコンサートのチケットを提供するプログラム。音楽院などの音楽を学ぶ学生に提供する活動と、余ったチケットを学校の音楽プログラム・高齢者・チャリティに提供する活動があります。
サンフランシスコ交響楽団の活動では、今までファミリーコンサートや、KEEPING SCOREの教育プログラムをご紹介してきましたが、今日は彼らの本来の教育プログラムをご紹介します。

子どものためのコンサート
1919年から続いていて、広域のベイエリアをカバーし、年間35,000人が参加(年16回のコンサート)。対象年齢によって内容を変えている。デイビスホールでのコンサートに先立って、スタディーガイドとCDを学校へ配布し、要請があれば、講師派遣も。

Adventures in Music(AIM)
1988年から継続しているプログラム。90以上のサンフランシスコの公立小学校で、年間約24,000人の生徒が参加。ヒューストンやクリーヴランドなど他の地域のモデルにもなっている。
内容は、さまざまなカリキュラムを通して音楽経験をしてもらうというもの。学校内でのアンサンブル演奏、複数の教科にまたがるカリキュラムの提供、先生方への研修・様々な教材の提供など。デイビスホールでのコンサートでクライマックス。

コミュニティや美術館・図書館などの機関と連携して実施。無料で提供。

Take Note!
いくつかの学校の校舎で行う、シンフォニー主催の音楽の夕べ。AIMの成果であるアンサンブルなどを保護者らに披露するというもの。

Bass Training Program
学生オーケストラで、コントラバス奏者が足りないという問題に対処するために生まれたプログラム。前シンシナティ響の首席奏者が中心になって、器楽のクラスをサポート。年2~3回、デイビスホールに集まってワークショップやリサイタルも実施。無料で提供。

SFS KIDS サイト
子どものためのウェブサイト。楽しみながら基礎知識を学べるよう工夫している。
SFS KIDS

(注)教育プログラムの種類について
ここでご紹介したもの→本来の教育プログラムとして提供しているもの
ファミリーコンサート→通常のコンサートのラインナップのひとつ
KEEPING SCOREの教育プログラム→KEEPING SCOREプロジェクトの中で新たに始まったもの
プロフィール
 

潮 博恵

Author:潮 博恵
MTT&SFSの音楽センスと革新的な活動に感銘を受け、ブログを開設。

【続・徹底研究】ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団で、よりわかりやすく彼らの活動と最新情報をご覧いただけます
続・徹底研究MTT&SFS


著作権分野の英文契約書作成等の行政書士をやっています。
うしお行政書士事務所

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