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テーマ:ブーレーズを演奏していたけど、聴いていたのはジェームズ・ブラウン!

今回はジェームズ・ブラウンが亡くなる半年前に収録したという、ティルソン・トーマスの彼へのインタビューとその音楽がティルソン・トーマスの音楽観に与えた影響についての話です。

ウィーンでMTT&SFSのストラヴィンスキーの三楽章の交響曲を聴いたとき、私は「ノリノリでビートのきいたリズム」に、ウィーンで聴いた他とは「違う世界に来ちゃった」ように感じたと旅行の感想で書きましたが、まさに今回の話は、なぜティルソン・トーマスの音楽がそうなのかという核心部分を話しています。

初めてカーラジオで流れてきたジェームズ・ブラウンを聴いたとき、思わず車を止めてしまったというMTT。その後本人に会い、ライブに行き、新譜を心待ちにして何度も何度も聴いたという崇拝者なそうです。

彼の音楽がティルソン・トーマスをとらえた点は、エネルギーのレベル、精度、時間の感覚(空白も含めて)、とがったところなどだそうです。これらをあげている点が非常にMTTらしい。

ジェームズ・ブラウンはスピリチュアルに降ってきたものをアウトプットしているだけなそうですが、他のバンドのメンバーにどう”SUGGEST”するのかとの問いに、「”SUGGEST”などしない。伝えるだけだ」と答えが返ってきました。ここで”SUGGEST”という言葉が出てきたところが全くもってMTT。

彼が「私が多くの音楽学生の一人にすぎなかったとき」と言っていたのも、何だか重みがあるというか、感慨がありました。

今回の話は、とにかく聴いてみてとしか言えません。ここで紹介しているジェームズ・ブラウンの曲を聴くと、なぜティルソン・トーマスはああなのかがよくわかります。ジェームズ・ブラウンの曲とMTTの「春の祭典」を交互に聴かせるシーンがあるのですが、そっくりです!
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今回の旅はスイスエアーを利用したのですが、プラハからチューリッヒまでの飛行機で、ぼーっと座席に座っていてふと前を見たら、入ってきた男性がMTTではありませんか!

色調の違うブルーのジャケットにポケットチーフとシャツ、黒のパンツに丸い形の黒いセルフレームの眼鏡をかけています。頭には、カレル橋のたもとのみやげ物屋で売っているような、色んな色で「PRAHA」と書いてある野球帽をかぶっていました。

こういういかにも的みやげ物って、今どき買う人がいるのかなと思っていたら、、、、いました。MTTが!

飛行機を降りてターミナルへのバスに乗ったら、彼がひとりで座っていたので、思い切って声をかけ、コンサートの感想とお礼を言うことができました。後からお連れの方がみえたのですが、それが以前サンフランシスコシンフォニーに日本からの応援メッセージを送ったときに応対してくださったキーザー氏だったため、MTTにこのブログの話をしてくださいました。良かった。

舞台でハンプソンと並んだMTTは、細くて小さく見えましたが、近くで見ると細くも小さくもなかったです。今回もともとオーストリア航空を利用する予定が、直前にホテルのからみでスイスに変更したということと、たまたま私がMTTに近い席の通路側に座っていたため気づいたという偶然でした。びっくり。

私はもう心拍数が上がったまま、いつもは飛行機に乗った瞬間から爆睡モードなのに、今回は成田への便に乗ってからも興奮して眠れず、着いたときにはどっと疲れが出ました。

無事に旅を終えることができましたが、本当に思い出深い旅行でした。快く送り出してくれた夫とMTT&SFSに感謝。


昨夜の公演で既に最高潮に達した感がありましたが、公演2日目です(5/25)。

マーラーは、ホールの関係もあるのか、ウィーンの出来の方がよかったような気がしました。ウィーンで一曲目の後拍手が起こり、拍手しないでとハンプソンが言う場面がありましたが、今日はティルソン・トーマスが最初に、連続した作品であり、次の曲への間と静寂が重要だという話をしました(昨日は携帯の件もありました)。観客のマナーは、ウィーン・プラハと比べても東京の方がよいと思います。

話をした甲斐あって、最後に歌った原光は、静まりかえった中で信じられない美しさでした。お客さんも大喜びで、アンコールで最初に歌った「塔の中の囚人の歌」をもう一度演奏。

後半のツァラトゥストラも渾身の出来だったと思います。もうサンフランシスコシンフォニーの弦の響きが薄いとは言いません。金管も弦も、響きのブレンド具合までよく計算されていると思いました。

アンコールはウィーンと同じで、ローエングリンからとアメリカンなワルツ。このワルツ、ディズニーランドでメリーゴーランドに乗っているような曲なのですが、私はこの曲が一番彼ららしいと思いました。

2日目のプログラムは、1日目と違ってはじけられる曲ではありませんでしたが、彼らの魅力全開だったと思います。ティルソン・トーマスはプラハと相性がよいみたいで、「プラハで演奏するのは大好きです」と挨拶していました。

これで彼らの春のヨーロッパツアー4公演をすべて聴いたことになります。総括すると、やはり音楽は一期一会だということ。同じメンバーで同じ曲であっても、お客さんや場所によって音楽がひとつひとつ違うということを強く感じました。MTTの観客をなごませる術とか、オーケストラを盛り立てていく気遣いなども印象的でした。

そして何といってもサンフランシスコシンフォニーの海外公演は楽しい。プログラムもパフォーマンスもすべてに「これがサンフランシスコシンフォニー」というものがあります。サンフランシスコでの通常公演は毎週4日もあって、それで完成度を上げるには実質的に限界があります。仮に日本公演が実現したとしても、ハンプソンクラスのソリストが参加するとは考えられない。とすると、ヨーロッパ公演は狙い目です。皆さんも機会があったらぜひお出かけください。次回ヨーロッパツアーは、8月末から9月中旬です。

さて、私のウィーン・プラハの旅もこれで終わり。一人旅で何か成長するかと思いきや、人間10日くらいで変わったりはせず、MTT&SFS大絶賛状態に拍車がかかっただけのような気もしますが、ドンマイ。
プラハの春音楽祭、やって来ました。日本を出るときは、プラハの春でチェコ・フィルもわが祖国も聴かないなんて、さすがの私もちょっと変か?と思ったものの、ウィーン公演を経、それもすっとんでいます。音楽祭はとても華やかな雰囲気で、アール・ヌーヴォーの建物に似合っていて素敵です。

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会場のスメタナホール


演奏会は、プラハのお客さんがウィーンよりも反応が良かったため、あれよあれよという間にボルテージが上がり、MTTはノリノリの絶好調状態に。

「妖精の口付け」の一曲目の最後の静かなところで、「えっ、こんな音あったっけ?」と思ったら、何と携帯電話の着信音。でも奇跡的に曲調にマッチした音だったのです。ティルソン・トーマスは、すかさず客席に振り向いてOKというようなジェスチャーをしていました。

3楽章の交響曲のリズム感は、もうこの人たちにしかできないクールさです。この曲は、ピアノが重要な役割を果たしますが、ピアニストは純粋クラシックの人ではなく、クロスオーバーな活動をしている方なのでしょうか?ロン毛を束ねた男性ピアニストだったのですが、センスがばっちり合っていました。

「冬の日の幻想」は、ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団コンビの真骨頂だったと思います。ウィーン公演では、どこかやろうやろうとしているように感じられましたが、プラハでは音楽が自ら動きだしたという感じです。ティルソン・トーマスはオーケストラにすべて任せて、ポイントだけ押さえていく感じなのですが、オーケストラはすべてをわかっていて、一つになった音楽が加速しながら動いているように感じられました。

ウィーン公演の1日目よりも5割増しくらいの出来で、彼ら自身も会心の演奏だったのではないでしょうか。私の前でやってくれてありがとう。出かけていった甲斐がありました。

ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団は、今コンビとして重ねてきたものの成果が花開いている状態だと思います。こんなに音楽監督がべったりはりついて自分たちのサウンドをつくり上げているオーケストラは、他にないのではないでしょうか。今聴くべきコンビだと切に思います。

*プラハでのコンサートのプログラムは、1・2日目ともウィーンと同じ(アンコールも)
プラハに着きました(5/24)。観光客であふれています。

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ずっと眺めていても飽きない景色です。


もともとプラハの一日目は、前にこのブログでも紹介した韓国のピアニスト、クン・ウー・パイクのベートーヴェンのピアノソナタの演奏会に行く予定にしており、とても楽しみにしていたのですが、ウィーンで3楽章の交響曲のリズム感にやられてしまった私。もはやピアノを聴きに行っている場合ではない!ということで、今日もサンフランシスコシンフォニーで決定。

パイクのチケットがもったいないので、代わりに行ってくれる人を探すことからプラハの旅はスタート。ルドルフィヌムの前で写真を撮っている、一人旅っぽそうな人に声をかけてみますが、難しい。観光客はツアーの団体か年配のご夫婦が圧倒的に多い上に、昼間観光して疲れているのに、ベートーヴェンでしかも30・31・32番。よっぽどピアノが好きじゃないと行かない。見るからにコリアンな人にもトライしてみましたが、興味なし。これ以上やっていると疲れてしまうので、あきらめました。パイクさん、ごめんなさい。次の機会には必ず聴きに行きます。

それにしても、プラハの街はクラシック音楽のコンサートの勧誘がすごい。前に来たときは8月で、コンサートのシーズンオフだから観光客向けのコンサートを代わりにやっているのかと思っていたら、これは一年中やっているのですね。びっくりしました。

新しい街に移ると、その街のペースに慣れるまで疲れます。街角で皆が並んでいたジェラートを食べました。人口香料だったのですが、暑くて疲れていたのでおいしかったです。
プラハへの列車まで時間があったので、ウィーンでのもろもろをつづります。


まず何といっても暑かった。連日25度はある感じです。8月に来たときよりも暑い。昨年12月に行った知人もあまり寒くなかったと言っていたし、地球温暖化の影響なのでしょうか?

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市民公園横の通り。緑が鮮やか。

次は、ウィーンフィルのシェーンブルンでのコンサート。5/24なのであいにく私は聴けませんが、入場無料で何万人も来るそうです。街中に掲示がされていました。どんな状態なのか行ってみたかったです。

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ホテルにも案内がありました。

昨日シュトゥットガルト放送響に行ったとき、オーケストラによって違って面白いと思ったことを一つ。シュトゥットガルトのメンバーは、始まる前や休憩時間にきれいに舞台からはけているのですが、サンフランシスコシンフォニーは、ほとんどのメンバーが休憩時間も練習しているということ。サンフランシスコは練習しないとMTTについていけない!

それから行くたびに日本食レストランが増えていて、日本人以外のお客さんでいっぱい。みんな当然のようにお箸を使って上手に食べていました。
ウィーンで旅の最後を飾るのは、ノリントン&シュトゥットガルト放送響。初めて噂のノンビブラートを生で聴きます(5/23)。

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本日の会場、楽友協会。今日は日本人もいっぱい来ていました。


一曲目のワーグナー「ヴェーゼンドンクの歌」では、普通にビブラートをかけていました。人間の声と合わせると、ノンビブラートはさすがに違和感があるのかもしれません。

2曲目はブルックナーの交響曲第3番。こちらはノンビブラートです。金管、特にホルンの響きが新鮮。目が覚めるような感じがします。長いフレーズを歌うようなところは、ちょっと表現の幅が狭くなるのかなと感じましたが、和音が持続したときに、濁りのない響きのよさがよくわかります。

ノリントンの音楽は、きっぱりはっきりしていて、終楽章のコーダも一切もったいつけずにそのまま突っ切って痛快。MTTもそうですが、感動させようとはしません。

アンコールは、シューベルトのロザムンデ(正確には何ていうのでしょう?)。こういう和声の変わり目のはっきりした曲は、ノンビブラートのよさが活きます。さすがの選曲。

シュトゥットガルト放送響は、個々人の技量が高くて、素晴らしいオーケストラだと思いました。ブルックナーの交響曲があっという間に感じられるとは!

さて、今回ウィーンで行った6つの公演は、どれも充実していて、来てよかったと思うものばかりでした。明日はプラハへ移動です。
1日目の公演では、自分たちのフィールドを思い切り展開した彼ら。2日目(5/22)は、マーラーとリヒャルト・シュトラウスというウィーンゆかりの作品で、サンフランシスコ交響楽団の今を聴かせるというプログラムです。

今回、一曲目は挨拶がわりのコープランドでしたが、二曲目がマーラーだったのと、ハンプソンもいたということで、一気に盛り上がりました。

彼らのマーラーの蓄積はものすごいです。なにげないフレーズひとつとってみても、重ねてきた表現の説得力があります。ティルソン・トーマスはハンプソンに対しては、すべて彼に任せていました。見たことないくらい美しい風景が浮かび上がる瞬間があります。CDをお楽しみに。

三曲目のツァラトゥストラもサンフランシスコ交響楽団の良さが出る選曲だと思います。輝かしい音と弦のアンサンブルをフルに発揮していました。

アンコールは、ローエングリンから。これは一日目もやったのですが、彼らのスピード感と金管はウィーンのお客さんにも受けていました。

最後は、ウィーンといえばワルツ。ということで、これがサンフランシスコシンフォニーのワルツだというもの(多分アメリカの作曲家の作品)を披露して終わりました。

2日目のプログラムの方が、ウィーンのお客さんにもなじみがあったようで、私の隣の年配のご夫婦もやいのやいのの大喝采。

彼らのウィーン公演、やはり2日間のプログラムの両方を聴いて、サンフランシスコシンフォニーがどういうオーケストラなのかがわかるような気がしました。

そして海外公演というのは、演奏内容うんぬんとは別に、自分たちはこういうオーケストラだということをアピールする場なのだということを強く感じました。日本にやってくる多くのオーケストラも、同じように一生懸命工夫しているのかもしれないのに無頓着だったと少し反省しました。

ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団コンビには、こういう楽しいクラシック音楽の世界があるということを世界中の人に聴かせる使命があると思うので、これからもがんばってほしいです。日本にも来て!

<コンサートの内容>
5/22
コープランド:交響曲第二番
マーラー:「少年の魔法の角笛」から(バリトン:トーマス・ハンプソン)
リヒャルト・シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」

アンコール
ワーグナー:ローエングリンより第三幕への前奏曲
アメリカンなワルツ(作曲者名を言っていましたが、よくわかりませんでした)
いよいよ旅の目的であるサンフランシスコ交響楽団のコンサートです(5/21)。

コンサートは、予想を超えて、「アメリカンで輝かしいサンフランシスコシンフォニーの世界へようこそ!」をぶちかましたという感じでした。

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会場のコンツェルトハウス



どういう客層だったかというと、観光客ナシ、社交場として来ている人たちナシ、日本人ナシという、いまだかつて私がウィーンで体験したことのない、ローカルの音楽好きが平均年齢高めで集結した場だったのです。

その中で繰り広げられる、極限まで練り上げてあって、緻密に重ねられたアンサンブル、歌い上げられる美しさ。そしてノリノリでビートのきいたリズム、輝かしくてド派手なサウンド。

ファンの私でさえ、ウィーンに着いて以来連日聴いていたのとは違う世界に来ちゃったように感じられたのですから、地元のお客さんには、インパクトがあったことでしょう。

今回、アンサンブルの精度がさらに上がっていました。ツアーに向けて準備をしたことが伺えます。他では決して聴けないアンサンブルの連続でした。

演奏内容の細かい話は割愛しますが、期待していたところも、期待以上でした。ありがとうMTT。

「冬の日の幻想」が終わったときは、客席が何かあっけにとられたような、そういう空気もあったのですが、アンコール2曲でさらにぶちかまし続け、最後は客席もなごんで、めでたしめでたし。

「楽しくなければクラシックではない」を地で行くティルソン・トーマスが、自分たちの持ち味である、生き生きとした音楽を余すところなく披露したコンサートだったと思います。そして客層も反応も見込んだ上でかましてきたティルソン・トーマスの腹の据わりようが、だてにゴールデンゲートブリッジの前で革ジャン着て立っていないというか、ふるっています。自分たちのサウンドに余程の自信がなければ、ウィーンであそこまではできないと思いました。

これでこそサンフランシスコシンフォニー!

録音していたので、どこかで聴く機会があるかもしれません。

<コンサートの内容>
5/21 場所:コンツェルトハウス
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「妖精の口づけ」・三楽章の交響曲
チャイコフスキー:交響曲第一番「冬の日の幻想」

アンコール
ベルリオーズ:ラコッツィマーチ
ワーグナー:ローエングリンより第三幕への前奏曲
昨日(5/20)は、「ナクソス島のアリアドネ」に行きました。これが何の期待もせずに出かけたのですが、今まで聴いたアリアドネの中で最高かもしれないと思いました。オーケストラの編成が少ないという作品の特徴がとても生きていたし、歌もメリハリがあって非常に楽しめました。演出はカール・ベームの時代と変わらないような感じなのですが、きれいだったし、それはそれで良さがあるのかなという気がしました。観光客がどのくらいを占めるのかよくわかりませんが、お客さんもたくさん入っていました。

ところで、今ウィーン国立歌劇場はレクサスがジェネラル・スポンサーだそうで、チケットからパンフレットからあらゆるものがレクサスマークです。コーポレート・スポンサーは普通は複数並んでいるので、一社どころか一ブランドが個別の公演ではなく、全体についてこれほど突出しているのは初めて見ました。

トヨタにこの広告効果はどのくらいあるのでしょう?昨年サンフランシスコに行ったときは、街でレクサスが走っているのを何度も見ましたが、ウィーンでは見かけません。

ヨーロッパ系の企業が目立たない表示しかなく、レクサスだけが飛びぬけて表示されているのを見て、そのポートフォリオでいいのかと疑問にも思うし、日本人としては驚くばかりです。
長時間の奮闘により立ち見席に立った私。いよいよ公演です。プログラムはワルキューレの1幕とオテロの4幕。

記念公演ということで、客席の華やかさを期待していましたが、意外と地味でした(平均年齢が高いから?)。値段の高い席には日本人の姿もいくつもありました。

公演内容について、ドミンゴの歌自体は、今聴いてどうこうというものではありません。オーケストラも「今日は着の身着のまま来ました」的演奏でしたし(いつものウィーンフィルという意味)。演出やフンディングの家、デズデモナの部屋も「本当に今もこれでやっているのか?」と思いました。

でも主役ドミンゴの姿については、今できる範囲で決して破綻せずに“ドミンゴ”であり続けていることや、投げ込まれたお花をていねいに拾う姿に、賞賛以外はないと思いました。

途中、今までのウィーンでの出演作品を紹介するビデオが流れたり(1967年にドン・カルロでウィーンデビューをしたそうです)、最後に表彰やスピーチがあって、大いに盛り上がりました。今まで見たことがないくらい、カメラのフラッシュが光りました。オペラ座の外でも大きなスクリーンで公演を流していて、多くの人が集まっていたそうです。

何度も何度もカーテンコールがあって、ものすごいブラボーの嵐でしたが、私はこのブラボーは何に対するブラボーなのかと考えました。

今も歌えることに対してなのか、過去の功績に対してなのか、ドミンゴという存在自体に対してなのか?

おそらくスター不在の現状にあって、みんな手放しで一緒に熱狂できる存在がほしいのではないかと思いました。そう考えると、このドミンゴ人気は皮肉にも思えます。

朝10時に並び始め、終演は11時をまわっていました。13時間も費やしたこの公演、貴重な体験でした。

ドミンゴのデビュー40周年記念公演、行ってきました!今回は、立ち見席初体験編と公演の感想編に分けてご報告します。まず、立ち見の話から。

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立見席 3.5ユーロ

インターネットで700ユーロの値がついたというこの公演。ボックスオフィスで、とにかく朝早くから並ばないと立ち見席にも入れないと言われた私は、朝6時に目が覚めたので、何はともあれシュターツオーパーに行ってみました。

すると寝袋がずらっと並んでいて、一番装備が軽い人でも椅子と毛布持参でした。それらを何一つ持っていなかった私はそれを見ただけでひるんでしまい、とりあえずホテルに戻って朝ごはんを食べることに。

お天気が良かったので、今日はサイクリングにしてしまおうと思ったのですが、もう一度だけシュターツオーパーものぞいてみようと、一応並ぶ準備もして、10時ごろ向かいました。

行ってみると、思ったほど人が増えていなくて入れそうです。並んでみることにしました。携帯用の椅子がなかったので、ビニール袋の上にタオルをのせて座ったのですが、硬くて冷たい。天気が良くても風が冷たいので頭が寒い。

でも周りを見ると、ご年配の方がたくさんいます。私の前は70歳くらいのチャーミングなおばあさん。旅行で来て1週間毎日観ているのだけれどドミンゴのチケットだけ買えなかった。どうしても観たくて並んだと言っていました。皆パワーあります。

暇つぶし用に持っていった浅田次郎の「プリズンホテル」が面白くて、防寒のために頭からストールをぐるぐる巻きにして、一人「フフ、フフフ」と肩をふるわせて行列に並んでいる日本人、怪しい。

途中、交代で列を離れられたので、天満屋で天ぷら食べたり(寒かったのでカロリーの高いものが食べたかった)、ホテルに着替えに行ったり(サイクリングの格好をしていた)できました。

お昼過ぎには、行列はものすごい人数になっていました。午後も延々と待ち続け、4時半に立ち見専用のチケット売り場の扉が開いて、中に入れてやっと開放されるのかと思いきや、開演80分前まで中で待っているだけでした。

そしてやっと手にしたチケット。今度は係の人の指示に従い2列に並んで入り口前で開場を待ちます。開場したら、次は順番に自分の場所を確保し目印をつけておきます。そしてもろもろの注意事項の説明があって、7時ごろやっと自由行動でした。

立ち見の感想は、意外と平気だと思いました。今回は人が多くて、バーがない通路にも立ち見客を入れていたのですが、その人たちは寄りかかるものがなくてつらかったと思います。

立ち見席初体験、楽しかったです。

(公演の感想へつづく)
今年のウィーン芸術週間のオペラは、ブーレーズ&シェローコンビによるヤナーチェク「死者の家から」。私もこれを観るために日程を組みました。

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会場のアンデアウィーン劇場

舞台セットは、灰色の壁だけ(監獄の話だから)。これが場面によって角度やせり出しが変わるというアイディアは、以前ザルツブルグ音楽祭でやったドン・ジョバンニと同じです。字幕が固定した装置ではなく、この灰色の壁に映るのですが、場面ごとに場所が変わったり、会話では左右に分かれたりして、こういうやり方もあるのだと思いました。舞台上の99%が男性、かつ主役がいないという群衆劇で、群衆の扱いとか配色がシェローらしい。幕もバサッと降りてきました!やってくれてありがとう。

幕がバサッと降りる話についての過去の記事

音楽の方は、このオペラの音楽は狂気的に響くのかなと思っていたのですが、理路整然と聴こえました(ブーレーズだから?)。

それにしても、カテンコールでシェローとブーレーズが並んでいる姿を見るのは感慨深かったです。きっと他のお客さんもそうだったのでしょう。拍手がずっと続いていました。

昨日(5/17)の夕方、ウィーンに着きました。昨夜の雨から一転し、今日はよいお天気でラッキー。東京よりも風が冷たいです。

音楽の旅で現地に着いたらまずすることといえば、ボックスオフィスへ行くこと。インターネットでオーダーしたチケットを受け取り、まだ買っていなかった公演の分を買い、さらにローカルのコンサート情報を調べます。

これらを一通り終え、チケットの確保が済むと、晴れて観光客の仲間入りとなります。

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コンツエルトハウスの案内。しっかりチケットを確保!

ところで、ドミンゴのデビュー40周年コンサートは完売、かつ立ち見希望の場合は、明日朝6時に整理券をもらいに並べとのこと。興味がなかった私も、プログラムにワルキューレの1幕とオテロの4幕が並び、「二度と聴けない」と書いてあるのを見て、急に行かないと一生後悔するかも?という気がしてきました。明日朝早く起きられたら、トライしてみようと思います。

ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団のウィーン・プラハのヨーロッパツアー(5/21~5/25)、私も聴きに行きます。

一足お先に出発し、彼ら以外にもいろいろ聴いてくる予定です。

今回は、約20年ぶりの海外一人旅。どうなることか楽しみです。

ブログも更新するつもりでおりますので、よろしくお願いします。
テーマ:フロイトとバレエ

今回のテーマは、クラシック音楽が人間の感情をどう表現しているかです。このテーマは、KEEPING SCOREプロジェクト全体を通して、彼らが最も伝えたいことの一つです。

音楽の歴史がポリフォニーからハーモニーに発展し、まず和声の変化により様々な感情を表現したというところから話が始まります。最初は感情を表現する手段は主にオペラでしたが、ロマン主義以降、器楽曲でも多様に表現されるようになります。そして人間の感情は複雑だという認識が深まっていくのと平行するように音楽もどんどん複雑化していき、ベルクのオペラ「ルル」で頂点に達するという流れをたどります。

ティルソン・トーマスは、音楽は科学や社会などの変化を予言するかのように先駆けて発展してきていて、それがクラシック音楽を古典たらしめているゆえんだと考えているそうです。このことは「春の祭典」のドキュメンタリーでも語っていました。どう先取りしているのか、音楽とフロイトの足跡を対比させています。彼はこの辺りについて、マーラーをやるにあたりかなり調べたようで、非常に詳しいです。

番組では、ロマン派の作品の中で、ティルソン・トーマスが人間の感情をうまく表現していると評価しているバレエ「ジゼル」を紹介し、舞踊家のナタリア・マカロヴァにバレエにおける感情表現についてインタビューしています。

この「ジゼル」、MTT&LSOの録音を紹介していますが、フェアリーな空気感が素晴らしい。ティルソン・トーマスの「ジゼル」はいけます。世の中、力で圧倒するような演奏を志向する指揮者はたくさんいますが、フェアリーを追求している人は私は他に知りません。フェアリーのスペシャリストって超ニッチでナイス。

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これがその「ジゼル」
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今回もいろいろな作品を聴いて、人間の感情について考えるという構成なのですが、ワーグナーについての部分はとりわけ興味深かったです。「たったそれだけ」で「そういう気分」にどっぷり浸らせることができる作曲家は、彼以外にはいないとあらためて思いました。

The MTT Filesも残すところ後2回。これからは、クラシック音楽が未来に向けて何ができるかという方向に話が進むそうです。楽しみ!
MTT&SFS雑記 | 2007/05/14(月) 12:00
日本のクラシック音楽の雑誌を見ていていつも思うのは、本当にたくさんの日本のアーティストがいて、来日するアーティストもいて、きらびやかだということです。

そして、マイケル・ティルソン・トーマスという指揮者もサンフランシスコ交響楽団も、まるで存在しないかのように見事に露出がない。

CDショップでも彼らのCDを1枚も置いていなくて普通。極まれに目につく場所に商品が置いてあったりすると、お店の人にお礼を言いたくなります。

なぜこうなるかというと、彼らは日本のマーケットに対して全くプロモーションを行っておらず、CDの販売コスト以外の積極的な資金投入がおそらくゼロだから。

彼らがこのままゼロ円を続けた場合、日本での知名度は今のまま推移するのか、それとも何かをきっかけに変わることはあるのか?ゼロ円でどこまで行けるのか?壮大な実験みたいで痛快だと思います。

私はこのブログでせっせと彼らの記事を書きながら、ことの推移を見守っていきたいと思います。
今週末、ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団は、マーラーシリーズの続きとして、「子どもの魔法の角笛」(バリトン:トーマス・ハンプソン)をライブ録音しています。

このシリーズ、今まで交響曲8曲をリリースしていますが、録音時期を見ると、うち6枚が9月に録音されています。

なぜか?

彼らのシーズンは、9月に始まり6月に終わりますが、シーズン中はほぼ毎週4回のコンサート+α(イベントや教育プログラム)をやっているため、まとまった練習時間がとれない。だからシーズン前にきっちり練習してから録音するのでしょう。CDを聴くと、(プロという前提の上でも)すごく練習したのだろうと思わざるにはいられません、私は(特に6番)。

録音に向けて何回くらいリハーサルをするのか?このご時勢にあの値段で売り続けることについてどう考えているのか?何枚くらい売れたのか?など、彼らのマーラーの録音については聞いてみたいことがたくさんあります。
昨日、人から「好きな作曲家は誰ですか?」と聞かれ、恥ずかしながらそこで「はて?」と止まってしまいました。

一生懸命考えても、これだという決め手が思い浮かばない。

いろいろ好きな作曲家とか曲はあるのですが、その時々でブームがあるし、ブームの後も好きなことには変わりがないので、一人に絞れないのです。さらに私は自分でも演奏するので、プレイヤー生活とリスナー生活でそれぞれ今のお気に入りがある。それぞれに好きなので比べられないし、本当に選べないのです。

ジャンルを聞かれるのもだめです。バロック?ロマン派?コンテンポラリー?

あれこれ考えていると、音楽好きとしてこんなんでいいのだろうか?という気がしてきますが、これってもしかしてプレイボーイがそれぞれを愛しているって言うのと同じ?

そんなの嘘でしょ!と思っていた私ですが、彼らの主張はあながち嘘ではないのかもしれません。
ティルソン・トーマスの音楽づくりを語る上で、「A Touching Performance」という言葉はキーワードです。これについては、KEEPING SCOREのチャイコフスキー編に入っているシンフォニーの紹介ビデオの中でも、The MTT Filesのハイフェッツの回でも語っています。

A Touching Performanceとはどういうことかというと、文字どおり聴く人に触れる(優しい触れ方もあれば、パンチのような激しいものなど様々な触れ方がある)演奏ということ。演奏は人どうしが触れ合うように、聴く人の琴線に触れるものでなければならないという意味です。

要するにA Touching Performanceでない演奏は、舞台上の仲間うちの自己満足にすぎないということです。彼は演奏家が「どうして音楽をやっているのか?」と聞かれて、「私は音楽が好きだから」と答えるようではダメで、「人のために演奏するのが好きだから」と心から思えるようにならなければならないと語っています。私は、常々半径5メートル自己完結型の演奏をする人がどうしてこんなにも多い?と思っていたので、ティルソン・トーマスがこれを語っているのを初めて聞いたとき、もうそれだけで感動でした。

サンフランシスコ交響楽団でも、オーケストラメンバーの意識をこれに変えるべく注力したと語っています。皆の意識を喚起するようなアクションを出すと言っていました。ライブ演奏のビデオをよく見ると、やっているのがわかります。

「ここでどうしてそのアクション?」と思うのは、どうもそれみたいです。
MTTを研究する | 2007/05/10(木) 12:00
The MTT Filesも後半に入り、第1回を聴いたときは、MTTの全く隙のない語りにあっけにとられた私も普通だと感じるようになりました。慣れの力は大きいです。

この番組を聴くと、ある職業にはその職業特有の能力が発達するのだということがよくわかります。指揮者の場合は、

擬音の能力

やはり自分の考えやイメージを演奏者に伝えるのが仕事なだけあって、パッセ-ジやメロディーを口でニュアンスをつけて表現するのがものすごくうまい。「ラヂオの時間」の藤村俊二さんと対決させたいくらい(ちょっと違う?)。

この擬音の能力は、演奏家にはないのではないでしょうか。そういう意味では、指揮者はとてもラジオ向きの人たちだと思います。
テーマ:最後のヴィルトゥオーゾ

今回は、ヤッシャ・ハイフェッツを題材にヴィルトゥオーゾとはどういうものか、どういう演奏家人生なのかを探るという内容。

あまりに自己に厳しく壮絶な音楽人生に、私は気が遠くなってしまいました。

ティルソン・トーマスが19歳の大学生だったとき、ビバリーヒルズのハイフェッツの家にコンチェルトのピアノ伴奏をしに出かけたときのエピソードを紹介しています。ある部分の担当楽器をオーボエだと言い張るハイフェッツに対し、そこはクラリネットだと譲らなかったMTT。実は圧迫面接(?)で、MTTを試していたそうです。他にもヴァイオリンのレッスンで、いきなりAs mollとかEs mollのスケールを弾かせて、ほんの少しのブレも許さなかったとか。これは、どんな場合にも対処できる力が必要だという意味だそうです。

ハイフェッツも使っていたガルネリを今使用している、サンフランシスコ交響楽団のコンサートマスターが、ハイフェッツの音楽の特徴をその楽器を使って弾いてみせるシーンが面白かったです。

が、しかし、今回のハイライトはヴィルトゥオーゾの音楽人生です。ティルソン・トーマスが語るところによれば、アスリートやダンサーと音楽家の違いは、アスリートやダンサーはピークが限られていて、その何年間かの勝負だけれども、音楽家は例えば30代で技術的なピークがきたとしても、それを維持しながら音楽的な探求をずっと続けていかなければならなくて、それが非常に困難だということ。個人生活においても大きな犠牲を払わなければならず、今ハイフェッツやホロヴィッツ、カラスのようにヴィルトゥオーゾ道に徹する人はいなくなった。皆途中で耐えられなくなり、引退するか指揮者になる(!)とのこと。

ティルソン・トーマスがハイフェッツから学んだことは、キャリアの最後まで決して妥協せず、タフであり続けることだそうです。彼らしい!
ロサンゼルスネイティブのティルソン・トーマス(MTT)。彼は近現代の作品を多く取り上げていますが、「The MTT Files」での話などを聴くと、このロサンゼルス育ちということの影響が大きかったのかなと思います。

今も昔もハリウッドは吸引力がものすごくあって、ビッグマネーが動く場所。そして作曲家にとっても映画の仕事というのはビッグチャンスであり、多くの作曲家がハリウッドにやって来ていた。そういう環境にあってマイケル少年は、門前の小僧よろしく作曲家が指揮をしたり、録音する場所に出かけては影響を受けて育った。

私などの素人考えでは、作曲家というのは演奏家よりもさらに芸術家然としていて、ピアノの前かデスクでひたすら書いているイメージを持っていたりしますが、「The MTT Files」の話を聴くと、チャンスやお金を求めて必死な普通の人間なのだということに気づかされます。

ストラヴィンスキーにしても、ティルソン・トーマスにとっての彼は、サンクトペテルブルグの古きよき時代のエレガンスを象徴する存在なのだということがよくわかり、なぜティルソン・トーマスのストラヴィンスキーにワイルドさがないのか合点がいきました。

多くの作曲家と交流したことは、彼の大きな財産の一つなのだと思います。
サンフランシスコ交響楽団は、5/14にゴルフコンペを開催します。タイトルは、

「Beethoven, Brahms, and Birdies」

金管メンバーのファンファーレでスタートするとは、何という贅沢。オーケストラメンバーもゴルフに参加し、プレー後のカクテルパーティでもメンバーの演奏があるそうです。

ティルソン・トーマス(MTT)は、参加するとは書いてありません。彼はヨーロッパツアーを前に、スコアから離れないのでしょう。

このゴルフコンペ、今年が第2回で、収益はシンフォニーの教育やコミュニティプログラムに充てられるとのこと。参加費が一組(3人+オーケストラメンバー1人)で3,000ドル!さらにこのコンペのためにスポンサー3社とメディアスポンサーまでついていてさすが。パーティではオークションなどもあります。

彼らの活動を見ていると、様々なアプローチでシンフォニーを支援する場を設けていることと、支援者同士がコミュニケーションをとる場を提供しているということに感心しますし、また桁違いな金額を拠出する支援者が多数存在するということに驚きます。

コンペの詳細はこちら。楽しそうです。
ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団の5/10~13の公演で、13日だけ曲目が、「ツァラトゥストラはかく語りき」からチャイコフスキーの交響曲第1番「冬の日の幻想」に変更になっています。

彼らはこの公演の後、ニューヨーク(5/17・18 @カーネギーホール)、ウィーン・プラハへツアーに出ますが、チャイコフスキーはツアーで演奏する曲です。この曲は、4月の公演でも取り上げており、さんざんやったにもかかわらず、直前に再度練習してから出かけるとは、ティルソン・トーマスの念の入れようというか、曲の完成度に対する執念に今さらながら驚きます。

また、直前になってしれっと曲目変更し、当初の予定どおりツァラトゥストラを聴きたい方は他の公演日へどうぞ(彼らはチケットが交換できる)と広報しているサンフランシスコ交響楽団にもびっくり。日本だったらクレームが来そうです。

それどころか、「冬の日の幻想」に関しては、ティルソン・トーマスの右にでる者はいないと宣伝していますが、これには私も同意。近現代ものよりも、マーラーよりも、実はこの曲が一番ティルソン・トーマスの良さを発揮できるのではないかとさえ思います。多分MTT自身も、この曲には格別の思い入れとこだわりがあるのでしょう。

ツアーの曲目についての過去の記事
プログラミングは、ストラヴィンスキーの「妖精の口づけ」と「冬の日の幻想」を組合わせているところに注目です。

「冬の日の幻想」についての過去の記事
ゴールデンウィークで海外にお出かけの方も多いと思いますが、私は海外で一番好きな都市は?と聞かれたら、

バンコク!

と迷わず答えます。バンコク、大好きです。街がダイナミズムにあふれていて、せこくない。そしてタイの文化が色濃くて、それらの渾然とした感じが何とも元気が出ます。

食べ物も何でもおいしいし、私は屋台で食べまくっても全然おなかを壊さない人なので、もうパラダイス。日本人がぷらぷらしていると次々と騙そうという人が寄ってきますが、それも毎度のことで何だか楽しい。

二番目に好きな都市は、これも迷わずソウル!

ソウルの魅力は、文化が似ているようで、違うところがいっぱいあるところです。その違いがいちいち新鮮で楽しい。そして逞しさというかエネルギーがあって、やっぱり元気をもらうように思います。

うちでは、これらのアジアの都市に出かけても、必ずクラシック音楽のコンサートがないか探します。偶然聴けたらラッキーだし、うまく日程が合わなくても、東京みたいにたくさんのコンサートがないということがよくわかります。

さて、これらの強豪たちを押しのけ、好きな都市ナンバーワンの座をサンフランシスコが奪う日は来るのでしょうか?楽しみです。
テーマ: ストラヴィンスキーの著作権ブルー

今回は、ストラヴィンスキーが「火の鳥」で大成功したにもかかわらず著作権が保護されていなかったためにお金で苦労した話が中心なのですが、ティルソン・トーマスが若い頃のストラヴィンスキーとの思い出やこの作曲家に対する思いが多く語られています。

まず作曲家は作品からどうお金を得るのか、音楽ビジネスの歴史を16世紀から概観します。そしてストラヴィンスキーが著作権の非保護のせいで少ないお金しか手に入れられなかったところから出発し、どうやって自分の作品でビジネスを展開したのか、その軌跡をたどる中で多くの作品やピアノラをはじめとする編曲ものを紹介しています。

ピアノラというのは、自動演奏ピアノらしいのですが、演奏者がテンポやフレージングを変えられる(?)と説明していました。どんな楽器なのでしょう?「火の鳥」を演奏していましたが、音が多くて普通に一人で演奏することは不可能。楽器を見てみたいです。

ストラヴィンスキーが自分の著作権で苦労したにとどまらず、自らの作品で人の著作権を侵害してしまい、著作権料を払うはめに何度もなったという話が面白かったです。ストラヴィンスキーの曲と原曲を聴き比べできるようになっています。

ティルソン・トーマスの若い頃のエピソードで、オーケストラは「火の鳥」を演奏していたのだが、指揮者のストラヴィンスキーは「ペトルーシュカ」を振っていて、それが見事に合っていたという話、よっぽど印象に残っているみたいで、彼はこの話が好きです。他でも聞いたことあります。

今回のラジオシリーズは、切り口や話の展開はもちろん、紹介している音楽のラインナップに毎回驚嘆します。何で知っているのだろうと思うし、どうやって調べたのだろうとも思います。マイケル・ティルソン・トーマス60年の音楽人生を大放出という感じで、まさに「The MTT Files」。
プロフィール
 

潮 博恵

Author:潮 博恵
MTT&SFSの音楽センスと革新的な活動に感銘を受け、ブログを開設。

【続・徹底研究】ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団で、よりわかりやすく彼らの活動と最新情報をご覧いただけます
続・徹底研究MTT&SFS


著作権分野の英文契約書作成等の行政書士をやっています。
うしお行政書士事務所

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