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今日はサンフランシスコ交響楽団の本拠地、デイビスシンフォニーホールのどの席がおすすめかをご紹介します。

Loge(110~114ドル)
予算にこだわらないのであれば、やはり一番のおすすめはロジェです。ロジェ席は、入り口からちょっとしたVIP気分を味わえます。シートも足回りのスペースも他のカテゴリーよりも広め。肘掛も隣の人と共用ではなく、一人ひとりにあります。音も非常によく、プレミアオーケストラの席よりも、私は断然ロジェだと思います。

さらにロジェの目玉はロジェラウンジ。ロジェのお客さん専用のラウンジで、休憩時間もソファーに座って過ごせます。バーコーナーのドリンクも持ってきてもらえていたれりつくせり。

Premier First Tier(65~69ドル)
ロジェ席と数メートルしか離れていないのに、価格が6割程度というお得な席。デイビスホールは、オーケストラフロアで聴くよりも、ステージから距離がある席で聴く方がいいと私は思っています。

Center Terrace(25ドル)
ステージの後ろの席です。ティルソン・トーマスが振る日はやはりここでしょう。同じこと考える人は多いみたいで、心なしかいつも埋まっているような。私はこのブログで彼のアクションをよく取り上げていますが、やはり初めて見たときに

「こんなのありなのか?」

と思った印象が強いのです。今も慣れるどころか、6月のプロコフィエフ・フェスティバルの「3つのオレンジへの恋」組曲でも、曲の最後でのアクションに「へ?」と気をとられた瞬間に終わってしまい、音を聴き損ねてしまいました。

今回ご紹介したカテゴリーはどれもおすすめです。ぜひ一度お出かけください。
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ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団には、自分たちの活動を紹介するプロモーションビデオがあります。彼らはこれを販促はもとより、資金調達やメディア等への情報発信のアピールのツールとして役立てているようです。どんなものがあるかご紹介しましょう。

Making Music with You
(KEEPING SCORE チャイコフスキー編のDVDに収録)
ティルソン・トーマスが音楽監督になってはじめの4~5年間に、新しい観客や若い人をコンサートに呼び込むとともに、観客と一緒に音楽をつくる努力をした軌跡を紹介するもの。クロスオーバーなアーティストとのコラボレーション、現代音楽を聴かせる様々な仕掛け(パフォーマーとの共演、楽器の配列など見せ方を工夫しているところ)、ティルソン・トーマスが客席に飛び降りて、観客とコミュニケーションをとっているシーン(多分、楽器をやっているお客さんに楽器持参で来てもらい、一緒に演奏するという企画)などがあります。

このビデオは、私が彼らに興味をもつ決定打となったものです。

マーラーレコーディングプロジェクトのDVD(非売品)
現在最高水準の技術を用いて、ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団の“今”のマーラーを伝えるという彼らの意気込みにあふれたDVD。リハーサルシーンやエンジニアとMTTが作業しているシーン、関係者のコメントなどで構成。ライブの切れ味の鋭さをそのまま出したいとティルソン・トーマスが語っていますが、一連の録音はその通りの仕上がりになっていると思います。

KEEPING SCOREプロジェクトのDVD(非売品)
昨年秋のテレビシリーズ3本(ベートーベン、ストラヴィンスキー、コープランド)の番組宣伝で構成。「音楽における革命」という切り口から作品の内容に踏み込んだドキュメンタリーで、クラシック音楽を聴く楽しみを幅広い層に広げるという、シリーズの内容および趣旨が理解できるもの。このプロジェクトがテレビだけでなく、ラジオ、ウェブ、教育プログラムなどメディアミックスで、それぞれに別のコンテンツで展開されることも紹介。

教育プログラムのDVD(非売品)
音楽を聴かせるとか演奏に参加するという従来からの教育プログラムとは別に、昨年KEEPING SCOREプロジェクトの一環として新たにスタートした、主要教科(国語、算数、理科、社会など)の授業で、理解を助けるためのツールとして音楽を用いる教育プログラムという彼らのチャレンジを紹介するもの。先生方への研修や授業の様子、先生方やシンフォニーの教育担当者のコメントなどで構成。音楽は多様な価値観への理解に役立つと結んでいますが、その通りだと思います。

この教育プログラムを紹介する動画は、KEEPING SCOREウェブサイトでもご覧いただけます。こちらからどうぞ。

この教育プログラムについての過去の記事
サンフランシスコ交響楽団の地元ブロガー招待イベントに参加したブロガーの記事に、

「本当に新しい観客を惹きつけたいのなら、気軽に楽しめるコンサートよりもシーズン中のコンサートのような本格的なものの方がいいのではないか?」

と書いている人がいて、私と同じことを思っている!と思いました。その方も、“サマー・イン・ザ・シティ”は楽しいから、それはそれで良さがあるけれどと書いていましたが、若いGaffigan(28歳)の気軽なプログラムと、60過ぎたMTTの凝ったプログラムと、どちらにより吸引力があるか?悩むところです。

私はティルソン・トーマスの音楽は、60過ぎていることが信じられないクール&スタイリッシュさを備えていると思うので、彼がやっている現代ものなどをいきなり聴かせても大丈夫だろうし、歳をとっても音楽がカッコイイということと、それが意味するところは、若い人の感性にも響くのではないかと思います。

一方でGaffigan起用は、デュダメル起用と同じ論理です。若い人を呼び込むには、若い人が牽引力になるしかないというもの。現にブロガーの中にも、「ずっと年上のオーケストラメンバーをGaffiganが率いている姿が良かった」と書いている人がいました。アメリカのオーケストラの潮流は、どうやらこちらに流れていきそうな気配ですが。

結局、それぞれによさがあるので、うまくミックスさせながら楽しめるラインナップにしていくということでしょうか。さて、次回8月の無料コンサートには、ティルソン・トーマスが登場します。どれだけ新しい観客を惹きつけることができるか。顔で損していると言われないように(?)がんばれMTT!
サンフランシスコ交響楽団が「Bloggers Night」という地元ブロガーをコンサートに招待するイベントを開いたとご紹介しましたが、どういう内容だったのかを振り返ってみたいと思います。

コンサート:7月18日“サマー・イン・ザ・シティ”シリーズ
<プログラム> テーマ「クラシカル・ロマンス」(クラシック音楽を聴いて、ロマンチックな気分にどっぷり浸ろうというプログラム)
チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」
R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番

指揮:James Gaffigan(サンフランシスコ交響楽団副指揮者の若いお兄さん。ちなみにサンフランシスコ交響楽団の常任ポストは、彼とMTTの二人に、ユースのお兄さんとコーラスディレクターで構成されています。)
ピアノ:Gabriela Martinez(ベネズエラ出身。ベネズエラはデュダメルだけではなかった!)

<スケジュール>
コンサート前半プログラム

休憩:シンフォニーのレセプションルームでブロガー達の交流会。Gaffiganとオーケストラのホルンメンバーも加わり談笑。クッキーと飲み物が出たそう。

コンサート後半プログラム

出演者とお客さんのQ&Aコーナー(客席の前に椅子を並べ、Gaffigan、Martinez、オーケストラメンバーの3人が客席のお客さんからの質問に答える形で交流、司会者付)

“サマー・イン・ザ・シティ”は、普段クラシック音楽のコンサートになじみがないお客さんに、シーズン中とは違うカジュアルな雰囲気の中、他ジャンルとのコラボレーションや親しみやすいプログラムを安めの料金設定(18~66ドル)で楽しんでもらおうというものです。

ホワイエやホールの中も明るくポップに飾りつけされていました。

招待されたブロガーが若者中心で、しかも半数が普段クラシック音楽のコンサートに行かない人たちだったというところがミソだと思います。

彼らはブログで、コンサートが楽しかったという文章とともに、ホールのポップな雰囲気も写真で伝えていました。「クラシック音楽のコンサートは、心配していたような古臭いものではなかった」と感想を書いているブロガーがいましたが、サンフランシスコ交響楽団の狙いどおりの役割を果たしてくれたということでしょう。

最後に、“まだシンフォニーのコンサートに行ったことがない人へ”というかたちで、「8月には無料のコンサートもあるから、行ってみると楽しいよ」とまで、しっかり書いてもらっています。ブロガーイベントで終わらせるのではなく、次に具体的アクションをとってもらうものをちゃんと用意している周到さ。さすがサンフランシスコ交響楽団!

「Bloggers Night」についての過去の記事
アメリカの非営利団体の財務面についての民間格付け機関である「Charity Navigator」で、メジャーオーケストラの評価を見てみると、サンフランシスコ交響楽団がトップの評価を得ています。

オーケストラ名/格付け/財務効率/財務能力/総合評点
サンフランシスコ ☆☆☆☆/ 38.28/25.97/64.26
ニューヨーク ☆☆/29.02/16.13/45.15
シカゴ ☆☆/31.97/10.00/41.97
ボストン ☆☆☆/35.43/21.99/57.43
フィラデルフィア ☆☆☆☆/ 32.64/30.00/62.64
クリーヴランド ☆☆/32.29/15.10/47.40
ロサンゼルス ☆☆☆☆/ 33.09/28.13/61.23

*格付けは☆4つが最高、2005年の数字をもとに評価したもの。

これは、寄付をするときに健全な財務を保っている先を選びたいというニーズに応えるためのもので、専門スタッフが膨大なデータを分析し、独自の評価基準でレーティングしています。

財務効率は主に費用面に着目。財務能力の方は、事業収入の伸び率や資本効率などが勘案されています。様々なデータ、同業他団体との比較、ミッション、トップマネジメントの報酬が過大でないか等が一覧できて非常に有益。

Charity Navigatorウェブサイト

こうした格付けなどを見ても、サンフランシスコ交響楽団が非常に経営努力をしており、またそれが評価されているということをご理解いただけると思います。

サイトでは格付けの他にも、団体個別のページで団体の活動理念が一言ずつ紹介されているのですが、各オーケストラの個性が出ていて面白い。ここでもサンフランシスコ交響楽団が打ち出しているものは、他とは違うということが見て取れます。

サンフランシスコ交響楽団
「21世紀のオーケストラというものを定義する」

ニューヨーク・フィルハーモニック
「音楽への興味と楽しさを維持・はぐくむ」

シカゴ交響楽団
「世界最高、シカゴそのもの」

ボストン交響楽団
「高い志をもって音楽の調和にささげられるもの」

フィラデルフィア管弦楽団
「コンサートホールと地域にフィラデルフィアサウンドを」

クリーヴランド管弦楽団
「すばらしいホールですばらしい音楽を」

ロサンゼルス・フィルハーモニック
「生きた音楽の発信地」

活動理念と財務格付けに相関性があるかのようです。実際の活動も見事に反映しているような。この事実は見逃せません。経営理念はあなどれない!

サンフランシスコ交響楽団が7月に行っている「サマー・イン・ザ・シティ」シリーズの公演で、地元ブロガーたちを無料で招待するイベントがあったそうです。

「おかか1968」ダイアリーさんのブログで紹介されていました。

招待されたブロガーは若者中心で、半数はクラシック音楽のコンサートに行かない人たちだったそう。彼らのブログを見ると、皆コンサートが楽しかったと感想を書いているので、シンフォニーの目的は達せられたのではないでしょうか。

彼らのブログには、ブロガーイベントの様子の他、コンサートの様子、コンサート後に行われた出演アーティストとのQ&Aの様子をはじめ、ホワイエでのアトラクションやイベントを盛り立てるホールの飾りつけなどの写真がたくさん載っているので、私がこのブログで紹介しているサンフランシスコ交響楽団の楽しさを実感していただけると思います。

それにしてもサンフランシスコ交響楽団は、シンフォニーのファンを増やす様々な仕組みを次々と出してきます。参加したブロガーたちもシンフォニーの努力を評価していました。

もしかして、私がサンフランシスコ交響楽団に「ブログで応援している」と伝えたことで、彼らもブロガーは勝手にタダで熱心に応援してくれる、しかもそういう人は世界中から出てくる可能性があるということを認識したのでしょうか?もしお役に立てたのであれば嬉しいです。

サマー・イン・ザ・シティを紹介した過去の記事
今日は、サンフランシスコの地元紙である「サンフランシスコ・クロニカル」におけるサンフランシスコ交響楽団の記事を通して、地元密着型オーケストラのパブリシティを見てみたいと思います。

まず、コンサートやアーティストの情報とそのレビューがあるのは、日本の新聞におけるオーケストラの扱いと同じです。違っていて注目すべきは、それ以上のローカルネタにあふれている点です。どんな記事があったかというと、

新しいオーケストラメンバーの紹介、退職するメンバーごくろうさんの記事から始まり、組合交渉が決裂したとか、ようやく妥結したとか、オーケストラの誰それががんの闘病から復帰したとか、元ボードメンバーの誰それが亡くなったとか、マネジメントの人事異動の話、コンサートの演奏途中で火災報知機が誤作動したとか、株価が下落したせいでいくら赤字になったとか、今期はどうする計画かとか。

こんなにいろいろ話題になってしまうというか、してしまうところにびっくりです。さすが地元密着型オーケストラのサンフランシスコ交響楽団。

過去のできごとの中で面白かったものは、「コンダクター・スワッピング」。同じ日にサロネンがサンフランシスコ交響楽団を指揮し、MTTがLAフィルを指揮するという企画をやったそうです。サンフランシスコをあげてサロネン大歓迎で盛り上がったそう。聴きたかった。

昨年初めて中国ツアーをやったときのことは、連日詳しく報道されていました。ティルソン・トーマスが上海の音楽院で指揮の公開レッスンをやったそうなのですが、最後彼の気迫に通訳の人が口を挟むべきではないと判断し、静まりかえった中で語ったそうです。コンサートの後は、お客さんと質疑応答などのコミュニケーションの時間もあったそう。(MTTは中国でもコープランドをやり、Making Musicの持論を展開したらしい。)

日本のメディアでは、コンサート情報が中心を占めており、アーティスト側もこうしたメディアか大量のちらしなどでコンサート情報を発信することに目がいっているように思います。サンフランシスコ交響楽団が地元紙にコンサート情報だけでなく、いろいろな面から話題を提供していることが、パブリシティとオーケストラを身近に感じてもらうことの2つの役割を果たしていることは、とても参考になると思います。

新聞記事を読み、あらためてこれだけ身近な存在だと、オペラグラス持参でコンサートに来ちゃうお客さんがいるのも納得だと思いました。
海外でのおすすめ、ザルツブルグ編。

ザルツブルグ音楽祭に出かけて、昼間の過ごし方でのおすすめは、やはりザルツカンマーグートでしょうか。フュッスル湖とかザンクト・ギルゲンくらいなら、朝ゆっくり起きてから出かけても十分時間はあります。

湖のまわりを散歩して、オープンエアのレストランでマス料理のランチを食べる。見晴らしもよくて気分は最高です。

もう一つ自信をもっておすすめするのは、ここでもサイクリング。ヘルブルン宮殿からホーエンザルツブルグ城の方向に伸びるアレーがサイクリングに最適です。中世の騎士も通ったに違いないと勝手に感慨にふけってしまう素晴らしさです。私はこのアレーを最初に通ったとき、大発見だと喜んでいたのですが、後から「地球の歩き方」を見たら紹介されていました。がっくり。

自転車はモーツァルト広場周辺で借りられます。

市内でのおすすめは、ホテルシュタインのカフェ。つきなみですが、旧市街を一望できるロケーションは、やはり一度は体験したいスポットだと思います。川沿いの席に座るのは競争率高いです。ここでのんびりお茶している音楽祭のお客さんも多そう。

あまり何もしないでぼーっとして昼間過ごすのも、音楽祭のぜいたくな楽しみなのではないかと思います。

HOTEL STEIN ウェブサイト


本屋で最近出た「指揮者列伝」という本を見つけました。こういうのにティルソン・トーマスは載っているのかと手に取ってパラパラめくってみたら、いましたいました。玉木正之さんが書いていて、

顔で損をしている

そうです。何でもティルソン・トーマスがいくら立派な発言やいい演奏をしても、あの「飄軽」な顔が効果を減殺してしまうのだとか。

その本は、何故か1ページもティルソン・トーマスにさいていて(これはお礼を言うべき?)、大きなポートレート写真が載っています。多分40歳代後半から50歳くらいのときのものと思われる、スポーティなマイケルがにっこり微笑んでいる写真。写真と文章から、見た人は皆納得してしまうでしょう。さらに、話がもう12年以上も前のロンドン響時代でおしまい。

「あの~、彼はまだ生きていて続きがあるんですけど、、、、」

本で取り上げる指揮者の切り口を考えたとき、彼の場合は顔になってしまうということでしょうか?実際、日本の男性クラシック音楽ファンでティルソン・トーマスの顔に目が行く人は結構いるように思います。私が彼に最初に興味を持って、ネットで検索していろいろ見ていたとき、「えらく男前である」というように書いてあるのをいくつも目にしました。中には「MTTは想像していたよりも老けていて、じいさんが踊っているようだった」とコンサートの感想を書いている方もいましたが、こちらはなかなかに的を得ているかも。彼の場合、顔単品というよりもそれに派手なアクションが伴っていることを忘れてはなりません。

ちなみに現在のティルソン・トーマス(62歳)は、何か余分なものが削ぎ落とされてとてもすっきりした雰囲気が漂っています(マラ5のCDの音楽の印象そのままです)。今はもう顔もアクションも含めてキャラごと超越しちゃっているかと。

最後に私が2回彼を近くで見た感想をご紹介すると、最初にチューリッヒの空港で、明るい自然光の下で見たときは、「あぁMTT、顔が魔女にしか見えないよ」と思いました。2度目にサンフランシスコ交響楽団の音楽監督の部屋でお目にかかったときは、間接照明だったせいか、存在そのものがむちゃくちゃカッコ良かったです。

それにしてもティルソン・トーマスの現況の日本での知られていなさかげん。「あの人は今!」クラシック音楽編をやったら、選ばれるかも?

図説指揮者列伝―世界の指揮者100人 図説指揮者列伝―世界の指揮者100人
玉木 正之、平林 直哉 他 (2007/05)
河出書房新社
どんな変人揃いなのか期待させる(?)表紙
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海外旅行シーズンということで、ウィーンでのおすすめをご紹介します。

私のおすすめは、サイクリングです。ウィーン市内は、自転車専用道が整備されていて自転車で周るのに快適。緑の中、風を切って走るのは実に爽快です。実際に自転車で観光している人たちが欧米人を中心にたくさんいます。年配の方がばっちりウェアと自転車を決めて走っているのもよく目にします。見所も自転車で周れる距離にあるので便利。

リング周辺にはレンタサイクルのスタンドが随所にあって便利ですが、ちょっとママチャリっぽい。プラーターの近くにあるペダルパワーというお店なら、ちゃんとした自転車を借りられます。セグウェイもあり。

PEDAL POWER ウェブサイト

ところでここしばらくウィーンでは、ベルトラン・ドゥ・ビリーが人気だと雑誌などで紹介されているのを見かけます。確かに任されている演目や市内の掲示での露出などを見ても人気なのだろうとうかがわれます。私も過去彼の振った「フィデリオ」と「ドン・ジョバンニ」を観、評価していました。しかし今年初めの来日公演に行ったとき、アンコールに光るサテン地の着物(?)、しかも「福」という文字がマルの中に書いてあるやつ(それ、日本じゃないと思うよ)で登場し、ラデツキーマーチの手拍子を強要(?)されたという一件があり、それ以来うちでは誰もビリーの名前を口にしなくなりました。

ウィーンといえば、何でも現地の大御所の評論家がデュダメルを「生まれながらの指揮者」だと言ったとか。最近、彼の映像をよく目にしますが、私はあの髪型に目がくぎ付けになってしまいます。彼の女性ファンの割合はどれくらいなのだろう?と思ったり。でも彼からは、音楽が大好きだということはとても伝わってきます。「生まれながらの指揮者」と称されるデュダメル。ちなみにティルソン・トーマスは、「生まれながらのteacher」だと称されております。
ヨーロッパの夏の音楽祭シーズンですが、アバド&ルツェルン祝祭管によるルツェルン音楽祭2005のマーラー交響曲第7番のDVDを見ました。

以前NHKのBSで放送したときに夜中に見て、その時は素晴らしいと思った記憶がありました。

今、改めて映像を見、音楽を聴いてみて思うのは、アバドには「あ、わかる、わかるよそれ」と言いたくなるということ。

楽譜を見ても細かいことは目に入らないかのように頓着せず、おおらかに伸び伸びとやっています。しかも楽しそうに。

何か共鳴するものを感じます。

そして、これとは対極的な緻密さを極めたティルソン・トーマスのマーラー。私は何でティルソン・トーマスのマーラーが好きなのか?ふと疑問に思いました。

すると、横から「自分にないものだからじゃないの?」という夫の声。

そうかもしれません。だからアバドにはシンパシーを感じ、MTTには惹かれる。

ティルソン・トーマスにはここまで来たら、針の穴を通すとかピンセットでしかつまみあげられないというようなレベルでこだわっていただきたい。そしてアバドには、そのままでいいよと申し上げたい。

今年、ルツェルンではサンフランシスコ交響楽団がマーラーの交響曲第7番を演奏します。ぜひいつも通りの演奏を披露していただきたいと思います。

マーラー:交響曲第7番ホ短調《夜の歌》 マーラー:交響曲第7番ホ短調《夜の歌》
アバド(クラウディオ)、 他 (2006/10/06)
ジェネオン エンタテインメント
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夏休みも近づき、海外旅行をご予定なさっている方も多いと思いますが、今日は私が今まで遭遇した海外でのハプニングをご紹介します。

置き忘れ その1
まずは、ベルリンのタクシー。空港に向かう途中、パスポートや航空券一式が入ったバッグをタクシーに置いたまま下車。旅程の最初に行ったベルリンだったので、なすすべもなくその場に呆然と立ちすくんでいたら、運転手さんが気づいて戻って来てくれました。それ以来、わが家ではドイツ人は親切だというのが常識です。

置き忘れ その2
ナポリで空港から中央駅までのバスに乗ったとき、「着いた!」と思ってスーツケースのことは忘れ、自分たちだけバスから降りてしまったのです。走り去るバスを必死で追いかけ(夫が)、スーツケースを取り戻しました。ヨーロッパの駅前がロータリーで本当に良かった。

チケットの会場名は必ず確認しましょう
ローマへ夏に行ったとき、ローマ歌劇場のボックスオフィスに「何かやっていないか」と探しに行ったら、その日「白鳥の湖」があったので、大喜びでチケットを買いました。その後余裕で観光&昼寝をし、開演10分前に劇場に行ったら電気が消えていて人気なし。チケットをよくよく見たら、カラカラ浴場と書いてある!ローマ歌劇場からカラカラ浴場ってどう行くのかもわからず、呆然。ところがそこへ運よくタクシーが通り、夏休みで名物の渋滞もなく飛ばしてくれました。10分ほどでカラカラ浴場に到着できたのです。まだ音も聴こえてきません。でも見ると会場まではじゃり道が延々続いています。ピンヒールの靴を履いていた私にはまたもや試練。それでも「白鳥の湖」の出だしが好きな私は、聴き逃してなるものかと猛ダッシュ。結局、根性で最初から観ることができました!

無銭飲食
最後は今年サンフランシスコ交響楽団を聴きにプラハへ行ったとき。ホテルをチェックアウトしようとしたら、私の部屋にツケで思いっきり飲食した輩が!プラハでは食料品や飲食などの代金と比較するとサンフランシスコシンフォニーのチケット代は非常に高価だったのですが、そのチケット代よりも飲み食いしてある。こういうことは初めてだったのでびっくりでした(もちろん支払拒否)。

ガイドブックは必ず最新のものを使いましょう
私が持って行ったガイドブックは2年前に行ったときのものだったのですが、そこに書いてあった帰りの空港までの交通費(値上げの可能性も考慮)だけ残して現地通貨を使い切ったら、運賃が大幅値上げされていてお金が足りない!ホテルでは日本円を両替してもらえず、朝早くて銀行もやっていません。キャッシュディスペンサーも見つけられない。ユーロの硬貨が少しだけあったのですが、硬貨は両替してもらえません。「そうだ、ユーロ圏から来た人に両替してもらおう」(我ながらグッドアイディアだった)と、朝食のレストランで声をかけたものの、何故かロシアから来た人ばかり。やっといたドイツ人には「私たちも今から帰るから」と断られてしまいました(朝早かったから当然そういう人しかいない)。仕方がないので、現地通貨とユーロのチャンポンで支払うことを交渉し、帰ってくることができました。

幸い大事に至らなかったハプニングばかりですが、やはり予想していないことが起こるものです。皆さんもお気をつけて!

MTT&SFS雑記 | 2007/07/19(木) 12:00
私がしつこく今、ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団だと言っているのは、もちろん彼らの音楽的成果も活動も素晴らしいことによります。でも理由はもう一つあって、それは、

時代の風は、サンフランシスコベイエリアに吹いている

ということです。音楽はそれを生み出している風土とは切っても切れない関係にあり、音楽だけが突然うまくいくなんてことはないと思います。

グーグル、ヤフー、アップルなどの時代を象徴する企業をはじめ、多くの起業家がひしめいていて、高い教育を受けた人が大勢いる。そしてリベラル。サンフランシスコ交響楽団は、そういうマーケットに存在するオーケストラだということ。

ティルソン・トーマスの路線が受けたことと、これらは無縁ではないと思います。彼らは資金調達の面でも、新しいことにチャレンジするという点でも、非常にフォローの環境にある。

こうして見ると、文化が興隆する土壌と、起業家がチャレンジできる土壌というのは同じなのではないかと思います。世界中のどこのオーケストラもやっていない活動がサンフランシスコから出てきたということは、必然なのではないでしょうか。サンフランシスコベイエリアの精神の自由さをある意味反映しているという点からも、要注目のオーケストラだと思っています。
MTT&SFS雑記 | 2007/07/18(水) 12:57
私が社会人になって自由にコンサートに出かけられるようになったとき、既にカラヤンもバーンスタインも亡くなっており、スター不在。どの指揮者もオーケストラも私の中では並列的な存在でした。

他方、例えばセル&クリーヴランドなどのかつて一世を風靡したコンビの録音などを聴いても、「すごい」とは思うものの、何か自分にとっては遠い感じがして、もっと聴きたいと思うこともありませんでした。そしてそういうコンビの絶頂時代を生で聴けた人をうらやましく思う一方で、自分たちの世代はそういうのとは無縁なのかとあきらめていました。

そして出会ったティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団。オーケストラを聴く楽しみが、指揮者とオーケストラのコンビネーションにあることを初めて実感しました。そして目の前でコンビの絶頂を聴けるということがこれほど楽しいとは思いませんでした。彼らが過去の黄金コンビと呼ばれたオーケストラと比べてどうなのかはよくわかりません。でも今世界中を見渡してみても、彼らほど指揮者とオーケストラがコンビとしての音楽を徹底してつくり上げているところはないのではないでしょうか。彼らは今、生で聴くことができるのです。

世界中にうまいオーケストラはたくさんあります。でもティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団の音楽は、どんなに能力がある指揮者でも客演では絶対につくることができないし、どんなにスーパープレイヤーを集めても、時間と信頼関係がなければつくることができないと思います。

実のところ、彼らが本当に今絶頂なのかは、私にはわかりません。私が彼らに気づいたのも昨年だったので(長いこと「なぜ、サンフランシスコ?」状態で放置されていた)、もしかしたらピークはもっと前だったのかもしれません。でも今ならまだ間に合うと思います。

ティルソン・トーマスの身上であるスポーティさは、これから歳をとれば表現できなくなるかもしれません(彼自身はメタボと無縁の体型でがんばっていますが)。その時には他のよさがあるのか、それとも終わりがくるのかはわかりません。

今しかないと本当に思います。好き嫌いの問題は残りますが、後悔しないためにも一度は生で聴くことをおすすめします。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥(違う!)

彼らがマーラーシリーズを始めた2001年9月に取り上げた作品の一つ。

Mahler: Symphony No. 3 [Hybrid SACD] Mahler: Symphony No. 3  亡き子をしのぶ歌[Hybrid SACD]
Gustav Mahler、 他 (2003/03/18)
San Francisco Symphony
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この作品では、どうにも拭い去ることのできない寂寥感が根底に流れ続けています。私はティルソン・トーマスの表現の中で、この寂寥感がとりわけ好きです。

サンフランシスコ交響楽団が作ったマーラーのレコーディングプロジェクトのプロモーション用DVD(非売品)には、この「亡き子をしのぶ歌」のリハーサル風景が入っています。ティルソン・トーマスがオーケストラに第5曲「こんな嵐に」の嵐の表現を説明しているシーンがあるのですが、そのテンションと目つきが尋常ではなく、このエネルギーこそがこのシリーズを生んでいると思わせるものでした。

レコーディング・プロデューサーのノイブロンナー氏が、「マイケルは信じられないフィーリングの持ち主で、ときどき彼のために作曲されたに違いないと思うときがある」とコメントしていたのが象徴的。

演奏は、ミシェル・デ・ヤングのメゾ・ソプラノがオーケストラと一体化した世界をつくり上げています。非常に完成度高く仕上がっており、決して交響曲第3番のおまけではありません。私のお気に入りです。
幸せになれる一枚。

Gershwin: Rhapsody in Blue; Concerto in F; An American in Paris Gershwin: Rhapsody in Blue; Concerto in F; An American in Paris
Jerome Simas、 他 (2004/07/13)
RCA Red Seal
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収録は、ラプソディー・イン・ブルー(ニュー・ワールド交響楽団、ピアノもティルソン・トーマス)、パリのアメリカ人、ピアノ協奏曲(以上、サンフランシスコ交響楽団)の3曲。

ガーシュウィンは、ティルソン・トーマス(MTT)がサンフランシスコ交響楽団の音楽監督になった初めのころに集中して取り上げた作曲家です。ガーシュウィンの生誕100年の1997年には、ガーシュウィン・プログラムで全米ツアーもやっています。

ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団には、クロスオーバーなレパートリーが似合います。もうそういうのだけやっていてもいいくらい。彼らにはクラシックのアーティストらしからぬスポーティさとセンスがあるのです。

このCDもオペレッタのCDなどと同じように、聴いた後には、しばらく鼻歌で歌っちゃうような演奏です。
写真家木下晃さんの企画展「青春の音楽-PMF」を見ました(7/16までBunkamura Gallery)。過去のコンサートや指導中の写真、参加アーティストの写真などで構成されています。

PMFマエストロという、今までに参加した指揮者が並んでいるコーナーにティルソン・トーマスもいました(特に感想なし)。

多くの指揮者が指揮している写真を連続して見たのは、思えば初めてのような気がしますが、どれもその指揮者の音楽的特徴を写真がよく現しているように感じました。

印象に残ったのは、今年の指揮者ムーティ。リハーサル中の写真だったのですが、笑顔の写真でした。そう、この笑顔!これが好きな人は多いと思います。いろいろな表情があったであろう中からこれを選んだところがさすが。

それからルイージの写真が私はいいと思いました。彼からは何かハッピーな感じを受けるのです。

ピクニックコンサートの写真がたくさんありましたが、お客さんが皆楽しそう。行きたいとは思っても、東京からわざわざPMFのために札幌に行くのは、なかなか実行に移せないので、北海道にお住まいの方がうらやましいです。あの楽しさは、きっと車にいっぱいの食べ物やワイン、椅子などの道具類を積み込んで出かけるところから始まるのでしょう。
ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団は8/29~9/14まで、怒涛のようにヨーロッパの主要な音楽祭を巡るツアーを行います。ハイライトをご紹介すると、

今回のプログラムでのアメリカンな顔ぶれ
アイヴス、コープランド、ジーガー、アダムス

マーラー7番やります
エディンバラ、プロムス、ベルリン、フランクフルト、ルツェルン

KEEPING SCOREの撮影
プロムスでのショスタコーヴィチの交響曲第5番は、2009年のKEEPING SCOREの映像に使うために撮影があるそうです。プロムスの映像を使うとは、ナイスアイディア! 

サンフランシスコシンフォニーの世界へようこそ
ヨーロッパの名門オーケストラがひしめく音楽祭に片っ端から出て行き、ひたすらにアメリカン(プログラムもサウンドも)を披露し続ける彼らのその根性と一丸となっている姿は、好き嫌いとかうまい下手を通り越して、聴き手に多くのものを感じさせ、考えさせるものがあります。

更にアメリカンサウンドの追求だけでなく、マーラーのレコーディングプロジェクト、KEEPING SCOREプロジェクトと彼らの活動でアピールすべきところを明確に打ち出している点に注目です。

コンサートの聴きどころは何といっても、MTTの非凡な練り上げとそれを実現してしまうチームワーク。そしてサンフランシスコらしい、どこかローカルでハートウォーミングなところでしょう。ぜひ多くの方に聴いていただきたいと思います(でもルツェルンのチケットは200ユーロ!)。


【日程】
8/29,30  エディンバラ(エディンバラ音楽祭)

9/1,2   ロンドン(プロムス)

9/3    ハノーバー(場所:Congresszentrum)
<プログラム>
IVES / Symphony No. 3
PROKOFIEV / Piano Concerto No. 3 in C major, Opus 26
TCHAIKOVSKY / Symphony No. 1 in G minor, Opus 13 Winter Daydreams

9/5    ベルリン(ベルリン音楽祭)

9/6    ケルン(場所:フィルハーモニー)
<プログラム>
COPLAND / Fanfare for the Common Man
SEEGER / Andante for Strings
JOHN ADAMS / Short Ride in a Fast Machine
PROKOFIEV / Piano Concerto No. 3 in C major, Opus 26
TCHAIKOVSKY / Symphony No. 1 in G minor, Opus 13, Winter Daydreams

9/7   デュッセルドルフ(場所:トーンハレ)
<プログラム>
IVES / Symphony No. 3
PROKOFIEV / Piano Concerto No. 3 in C major, Opus 26
SHOSTAKOVICH / Symphony No. 5 in D minor, Opus 47

9/9   フランクフルト(ラインガウ音楽祭)

9/10   フランクフルト(場所:アルテオーパー)
<プログラム>
MAHLER / Symphony No. 7 in E minor

9/12,13,14 ルツェルン(ルツェルン音楽祭)

出演音楽祭について紹介した過去の記事
エディンバラ
プロムス
ベルリン
ラインガウ
ルツェルン

サンフランシスコ交響楽団のプレスリリース
幻想交響曲とレリオをカップリングさせているところがミソ。

Berlioz: Symphonie fantastique Berlioz: Symphonie fantastique
Hector Berlioz、 他 (2004/07/13)
RCA Red Seal
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以前から、幻想はティルソン・トーマスのよさが出ないと言っていた私。でもこのCDは、曲の組み合わせにMTTのこだわりがあったのです。

幻想交響曲にその続編とされるレリオ(あるいは生への回帰)から、亡霊の合唱とシェークスピアのテンペストによる幻想曲の2曲をカップリングさせています。

幻想交響曲とレリオは、2009年に放送するKEEPING SCOREのテレビシリーズでも取り上げることが決まっています。標題音楽がテーマなのでしょうが、ティルソン・トーマスがこれらについてどう話を展開させるのか、非常に楽しみです。

CDの幻想交響曲の演奏については、2楽章のワルツと3楽章は素晴らしい出来だと思います。本当に夢の中の出来事という感じがします。

でもやはり4・5楽章の濁りのなさが、私はどうにも引っかかります(ちなみに夫は気にならないと言っています)。ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団はトゥッティでフォルティッシモを鳴らしたときに、スカーンと青空に突き抜けるような響きがしますが、これが曲によってはストレートすぎて何かが足りないように感じるときもあります。これは彼らのよさと表裏一体でもあるから難しい。


私のリサーチによると、ティルソン・トーマスのレパートリーで安心して間違いないとおすすめできるのは、アメリカン&ロシアン、そしてマーラーとR.シュトラウスです。

ジャンル的には、MTTは非常に伴奏上手であることから、コンチェルトや歌ものはいけます。これはコミュニケーション能力のなせる業なのか、若い頃のハイフェッツ等の伴奏で鍛えられたのか、ロンドン響時代にコンチェルトのテレビ番組に出ていたらしいことによるのかはわかりませんが、とにかく絶妙のタイミングで合わせてきます。ソロと合奏のバランスがうまくとれていて、とても楽しめます(ただし、歌と言ってもオペラは、その時揃ったメンバーですぐ本番みたいな体質が、彼のポリシーに合わないらしい)。
ティルソン・トーマス(MTT)と無縁なもの、それはこってりギラギラ感。彼の音楽は、派手に鳴っていてもオイルフリーです。

彼自身も脂でテカッていたりしません。どこまでもしなやかでサラサラです。私の印象では、彼は気取りも気負いもない感じ。彼の言動は自然体の結果なのでしょう。

したがって、彼がベートーヴェンの「英雄」で、「誰が英雄かは、聴いたあなたが決める」と力強く語っていたり、ゴールデンゲートブリッジの前で革ジャン着て立っていたりするのも、すべてマジだと思います(例えば、刑法で違法性の意識がないという、あの話と同じだと考えるとわかりやすいでしょう)。

彼が舞台で汗をかいている気配がないというのも、このブログで以前に取り上げましたが、その後何度も聴きに行き、いよいよ確信に近くなってきました。

ソリストがいるときに、ソリストは曲の間に一生懸命汗をふいているのですが、MTTはその間ちんとして待っています。

黒田恭一さんが、ネトレプコは汗でだらだらになったりしない。それがスターの証だというようなことを書いているのを読んだことがありますが、この論理にあてはめると、MTTは大スター?
ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団コンビが最初にグラミー賞を受賞した作品。

Prokofiev: Romeo and Juliet Prokofiev: Romeo and Juliet
Sergey Prokofiev、 他 (2004/04/20)
RCA Red Seal
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このCDは、プロコフィエフのバレエ音楽をオーケストラ・コンサートで取り上げやすいようにティルソン・トーマスが構成したものです(78分)。一つ一つの音楽が、一つのダンスシーンだということをとても感じさせます。ひと筋の糸がつたうように歌い上げるシーンも、スピード感やリズムもティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団ワールド。

ティルソン・トーマスがアメリカン同様にこだわっていると言えるのは、自分のロシアン・オリジンでしょう(彼の祖父母はロシアからアメリカに移ってきて、ニューヨークでイディッシュシアターを創設した演劇人でした)。彼は小さい頃から生活に浸透していたロシア音楽をとても大事にしており、ロシアものは、彼の中核をなすレパートリーです。このプロコフィエフも彼が大事にしている作品であり、今年のプロコフィエフ・フェスティバルでも取り上げていました。

このCDからは、その大切にしているという思いが伝わってきます。音楽の完成度においても、その後のマーラーシリーズと同じメンバーによる録音のよさという点でも、おすすめです。
ネットを見ていたときに、50代からの男のライフスタイル提案(最近よくあるやつ)のサイトで、「今だからこそ男の一人旅」特集というのがありました。どんなにカッコイイものが出てくるのかと思ってのぞいてみたら、内容は「寂しくない一人旅のコツ」とか、「一人での食事をどうするか?」というようなものでした。

やわい。やわ過ぎます。

そもそも、一人であるということは良くも悪くも孤独と向き合うことであって、それをマイナスのものとして蓋をするかのように何かで埋め合わせしてしまったのでは、一人旅に出た意味などないと思うのです。レストランに一人で入ってもつまらないなどと言うのも、私に言わせれば食を楽しむマインドが足りないだけ。

こういう大人のライフスタイル提案って、どんな内容なのか興味があるのでよく見ます。でも骨がないというか、とにかく難しくないということを強調しているものが多い。

でも本当は、一人旅にしろ、何となく直面するのが怖い、自分と向き合う機会になるというところに実は価値があるわけだし、楽しさばかりが強調されている楽器演奏にしても、実は簡単に弾けるようになんてならないものを一つ一つ習得するところに醍醐味があったりします。

だから寂しいことや難しいことをマイナス要素だとする常識は疑わしいって思います。

ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団らしさに溢れた一枚。

Copland: Appalachian Spring; Billy the Kid; Rodeo Copland: Appalachian Spring; Billy the Kid; Rodeo
Aaron Copland、 他 (2005/03/22)
RCA Red Seal
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最近、RCAのこのシリーズ(輸入盤)が廉価で出ているようなので、ご紹介します。

収録は、「ビリー・ザ・キッド」「アパラチアの春」「ロデオ」のバレエ曲3曲。リズムの躍動感と生き生きした音楽という、彼らのよさが全開です。もちろん極限まで練り上げた高精度アンサンブルは健在。彼らの音楽を聴いたことがないという方に、ぜひこの楽しさを知っていただきたいです。しかも500円台という、これ以上ない敷居の低さ。

コープランドの音楽は、アメリカのランドスケープを描いていると語っていたティルソン・トーマス。この演奏はどれも、古きよきアメリカンカントリーの風景が浮かんできます。

そして、このCDを聴いてコープランドに興味を持った方には、ぜひ「KEEPING SCORE」のコープランド編のDVDもご覧いただきたい。なぜこういう音楽なのかということがよく理解できます。

Keeping Score: Revolutions in Music Keeping Score: Revolutions in Music
Copland、Sfs 他 (2006/12/12)

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この中でも「ビリー・ザ・キッド」を演奏しているシーンがあるのですが、私はこのシーンが大好きです。MTTもオーケストラも本当に楽しそうに演奏していて、サンフランシスコ交響楽団を象徴しているシーンだと思います。

そして私は、このDVDを何度も観たおかげで、CDを聴いても「アパラチアの春」のラスト、「シンプル・ギフト」のメロディーを高らかに歌い上げるところを聴くと、DVDで叫んでいた(?)MTTと映し出されていたコープランドの姿がセットで自動的によみがえり、パブロフの犬のように泣けるのでした。
ティルソン・トーマスの音楽の核心部分が、ヨーロッパの背中を見ている音楽ではないことにあるというお話で、日本にも日本独自のクラシック音楽の発展型を探る指揮者が登場すれば面白いと書きました。

前回は触れませんでしたが、これには前提があります。

ヨーロッパの背中を見ている音楽ではない、アメリカ独自のクラシック音楽の発展型を探ることは、ティルソン・トーマス一人によるものではないということです。

それを探求したアメリカの作曲家による数々の作品の存在、そして彼の偉大なる先達バーンスタインの築いた道の上に重ねられているものであるということ。

だから、日本独自のクラシック音楽の発展型を築くには日本人作曲家の活躍という要素は不可欠だろうし、それを築いていくには何世代もかかるのでしょう。

そして日本の作曲家の作品というのは、単に日本人が書いた作品ということとは異なります。The MTT Filesでやっていたように、音楽を聴いたときに一般の人がアメリカらしいと感じられるかとか、その音楽を聴いたときに感じるフィーリングがアメリカ人皆が共有できるようなものであるかとか、それが「アメリカンサウンド」だという、そういうレベルの話なのです。

結局は、クラシック音楽をやっている人たちや一部のファンの中で完結してしまうのではなく、一般の人に共有されてはじめて「アメリカン」になれるということなのでしょう。

ティルソン・トーマスが執念のようにやっている活動は、すべてそこへ収束していくのではなかろうかと思います。
2007-2008シーズンは、ニュー・ワールド交響楽団の創設20周年にあたり、華やかにお祝いをするそうです。

640名もの卒業生をプロの演奏家にしたという実績の点でも、今までなかった職業訓練としての音楽教育機関という意味でも、ものすごい成果ですが、大きなコンサートホールではなく、700席程度の劇場で20年も若者たちと音楽をつくり続けてきたことの重みや、食住はじめ生活費を支給しながら、常に100名もの若者をお預かりしてきたプレッシャーを想像すると、関係者の方々の思いはいかばかりかと思います。ウェブサイトを見ると、本当にゼロから始めてここまで来たのだということがよくわかります。結成したころの写真がいくつもあるのですが、MTTも若い。

シーズンのハイライトは、リンカーンシアター(ニュー・ワールド交響楽団の本拠地)でのオープニングコンサート(10月13日)と、昨年マイアミに出来たカーニバルセンターのコンサートホールでのシーズン・フィナーレ(5月3日)。

オープニングのプログラムは、ギル・シャハムをゲストに迎え、メインはバーンスタインの「Fancy Free」。

フィナーレの方は、ニュー・ワールド交響楽団の主たる卒業生20名も加わり、チャイコフスキーの「白鳥の湖」第3幕とストラヴィンスキーの「春の祭典」。やはり切り札はこれで決まりでしょう。どんなに盛り上がることか、楽しみです。MTTは泣くかな?

ニュー・ワールド交響楽団のアニバーサリーシーズンサイト
オーディオ的にはこれが一番楽しめます。

Mahler: Symphony No. 2 [Hybrid SACD] Mahler: Symphony No. 2 [Hybrid SACD]
Gustav Mahler、 他 (2004/11/09)
San Francisco Symphony
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彼らのマーラーシリーズは現在8枚リリースされていますが、一番好きなのは7番?いややっぱり6番?個人的にとても気に入っている4番もあるし、5番9番も捨てがたい。とても迷います。でも順番をつけたらビリだけは何の迷いもなく2番。

こういう表現もあるのだと感心する点では他の作品と同じなのですが、通して聴き終わったときにあまり何も残っていないのです。

しかしながら、オーディオ的な楽しみはこの作品が一番あるのではなかろうかと思います。

とにかく情報量が多くて、音の瞬間的なエネルギーの放出度もハンパじゃありません。MTTの派手なやってくれように思わずニヤリとしてしまうはず。そしてリモコンを手に取り巻き戻してしまうはず。

ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団のマーラーの録音は、一般的に最弱音から最強音のレンジが広いのですが、この2番はとりわけ幅があって差が大きい(ちなみに3番も幅があります)。だから「あれ、音小さい?」などと思ってボリュームを上げようものなら、ものすごい大音量にみまわれます。

そしてこの録音の情報量に対応できるスペックを備えていないオーディオで再生すると、最弱音や最強音、その他の細かい表現の情報を再現しないので、全部が中間地帯で再生されてしまうようです。そうするとディナーミクの変化に乏しくて細かしい演奏が延々続くという結果となり、「録音がいいっていうから買ったのに!」と怒るはめになってしまいます。要注意です。

どんなオーディオでかけてもそれなりに聴こえるような仕様にしてしまったのでは、この録音が存在する理由がなくなるのでやむをえないと思います。
私はティルソン・トーマスの音楽の核心部分は、ヨーロッパの背中を見ている音楽ではないことにあるのだろうと書きました。

KEEPING SCOREの中でも「アメリカンサウンド」を何度も取り上げていること、ヨーロッパ公演を聴いて感じたこと、彼のレパートリーやプログラムなどもすべてそれで説明がつくのですが、そもそも彼が、

「America’s Orchestral Academy」と銘打って、「New World Symphony」と名づけたことから明白でしょう。

その「ヨーロッパの背中を見ている音楽ではない」ことが、大きな魅力になっているということは、非常に示唆に富んでいると思います。誰かの後追いでないというポジショニングの面でも、アメリカ独自のクラシック音楽の発展型を探求しているという点でも。

ひるがえって日本におけるクラシック音楽を見てみると、ヨーロッパの背中を一生懸命に見ているケースが多いように思います。それはことクラシック音楽に関する限り、日本人自身がそのメンタリティのあり方でよしとしているからでしょう。

そろそろ日本独自のクラシック音楽の発展型を探るガッツのある指揮者が出てきてもいい時期のような気もしますし、そうなれば面白いのにと思います。しかしながら、教育において日本のよさとか日本らしさとは何かということを考える機会がほとんどない状況でそういう人が登場するのかとか、人と違うことに大きなリスクが伴う日本社会で、仮にこれにチャレンジした人が現れたとして、つぶされずにMTTのようにしぶとくそれを貫けるかなどと考えると、ハードルが非常に高い。

かくしてヨーロッパの背中を見ていた方がいいという結論に落着く?
ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団は、8月末から9月中旬までヨーロッパの音楽祭に出るツアーを行いますが、ロンドンの夏の風物詩「プロムス」にも出演します。

彼らは、極限まで練り上げてある一致団結したアンサンブルがノリノリで出てくるという稀有な団体なので、お祭りによく似合います。サンフランシスコ交響楽団が登場するのは週末ですから、さらにヒートアップしそう。

さらにこのプロムスでは、サンフランシスコ交響楽団の活動を紹介するイベントもあり、今までの成果を大いに披露。フィルムのイベントにKEEPING SCOREコープランド編のドキュメンタリーが登場し、KEEPING SCOREプロジェクトの紹介をします。日曜のお昼に無料での上映です。この他にも「MEET THE ARTISTS」というコンサート前のイベントも予定されています。

こういう場で演奏をするだけではなく、いろいろな切り口でクラシック音楽を楽しんでもらえるものを提供できるところが、サンフランシスコ交響楽団。プロムスでは本領発揮です。


プログラム(場所:ロイヤルアルバートホール)
9月1日
Ives  Symphony No. 3, 'The Camp Meeting'
R. Strauss Final Scene from Salome (ソプラノ:デボラ・ヴォイト)
Shostakovich  Symphony No. 5 in D minor

9月2日
Mahler  Symphony No. 7 in E minor

BBCプロムスウェブサイト
私はこのブログでよく、「サンフランシスコ交響楽団の音楽を聴くことは楽しい」と書いています。多分、一番登場回数が多いフレーズなのではないでしょうか。

この「音楽を聴くことが楽しい」とはどういうことなのか?どういう状態を私は意味しているのか、今日は突っ込んでみたいと思います。

まず、純粋に音楽がいきいきとしていて楽しいこと。何でいきいきしていると感じるかといえば、リズム感やサウンド、表現などに起因しているのでしょうが、演奏している彼らがとても楽しそうだということも大きいと思います。

そして次は、おそらくティルソン・トーマスの音楽の核心部分だと思いますが、彼らの音楽がヨーロッパの背中を見ている音楽ではないこと。彼らは自分たちオンリーワンのアメリカのクラシック音楽を追求している、そのユニークさが聴いて楽しいのだと思います。ティルソン・トーマスがアメリカで若い世代から支持されている理由もそこにあるのではないかと思います。

このことは、また改めてこのブログで取り上げたいと思っていますが、非常に重要なことだと思います。

これらに加えて楽しいと感じる理由は、音楽的な刺激があることでしょうか。常識を超えたアンサンブルの精度はもちろんですが、センス・解釈など、非常に知的好奇心をかき立てられる点が面白いのです。

最後もこれと相通ずるのでしょうが、プログラミングです。一つの演奏会の曲目の組み合わせが考え抜かれていて、通して聴いたときに何かひらめきがあるような、そんな感じがします。

こうして見ると、彼らの「楽しさ」というのは、誰でもお手軽に実現できる「楽しさ」ではないということがわかります。だからこそ「サンフランシスコ交響楽団の音楽を聴くことは楽しい!」

6月はプロコフィエフのフェスティバルでアーティスティックだったサンフランシスコ交響楽団。7月はガラッと趣向を変えた「サマー・イン・ザ・シティ」というお祭りです。

サマー・イン・ザ・シティ

街の中心、ユニオンスクエアにもフラッグが続きます。

これは「クラシックのお気に入り、ポピュラー音楽との触れあい、ファミリー料金、スターのパワー!」と銘打ち、夏の間はシーズン期間中とは打って変わって、クロスオーバーな音楽を気楽に楽しもうという企画です(サンフランシスコ・アート・コミッションとの共催)。

キューバなどのラテン音楽のアンサンブル、タンゴのバンドネオンやダンサー、ジャズトランペッター、ポピュラーシンガー、ブロードウェイのミュージカルシンガーなどとの共演が目白押しで、全部で11回のコンサートがあります。

7月はこの他にも、2回の公園などでの野外無料コンサート、シリコンバレーから近い野外のコンサート会場での公演があります。後者のコンサートは、ブロードウェイの名曲を取り上げるもので、プレコンサートにはマジックやフェイスペイントなどもあるそう。

今回はティルソン・トーマスの登場はありません(彼には教育活動が待っている)。サンフランシスコシンフォニーの輝かしいサウンドがいろんなアーティストとのコラボレーションでどうなるのか、非常に興味深いし、ラインナップも面白い。SOLD OUTも出ています。

サンフランシスコ交響楽団のサマー・イン・ザ・シティのサイト
プロフィール
 

潮 博恵

Author:潮 博恵
MTT&SFSの音楽センスと革新的な活動に感銘を受け、ブログを開設。

【続・徹底研究】ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団で、よりわかりやすく彼らの活動と最新情報をご覧いただけます
続・徹底研究MTT&SFS


著作権分野の英文契約書作成等の行政書士をやっています。
うしお行政書士事務所

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