初めて彼らのマーラーのCDをきちんと聴いたとき、「異常なまでの練り上げ度」を感じた私ですが、KEEPING SCORE チャイコフスキー編では、ティルソン・トーマスが練り上げているシーンがあります。

曲想が変わって、次のメロディーが始まる部分のつなぎ。

始めはスコアを手に、指でカウントを取りながらメロディーを歌っています。次は部屋の別の場所で同じところを歌い、窓際に移動してまた歌い、歌うシーンは4回続きます。そして今度は全く同じところをピアノで弾きます。そしてやっとスコアに書き込みをします。

このシーンにはナレーションが入り、すべての楽章、すべてのパッセージ、すべての音について納得できるまでやる。しかも何日でもと言っています。

さすが!
KEEPING SCORE チャイコフスキー編では、ライブラリアンが紹介されています。

なんと、ティルソン・トーマス(MTT)が自分の構想(細かいアーティキュレーション等も全部)をスコアに書き込み、それをライブラリアンがパート譜に転記していたのでした。

どうりでマーラーのCDを聴いたとき、練り上げ度合いもさることながら、その徹底され具合が常識を超えていると感じた訳だ。

他のオーケストラでもそうなのか?

早速私は、オーケストラスタッフの仕事を紹介している本を見ました。

エディションや部数の確認、ボーイングを記入したりするとある。

サンフランシスコ交響楽団のライブラリアンの人も、これが「ユニーク パフォーマンス」を生むと答えていたし、こんなスタッフのサポートがあったなんて驚きです。
KEEPING SCORE チャイコフスキー編で注目するのは、ティルソン・トーマスはコミュニケーション能力がずば抜けているという点です。

彼はオーケストラメンバーに、言葉でも多くのことを語ります(身体表現は当然。両手が塞がっていると、ウィンクまで動員し音楽的ポイントを示します)。

そして必ず、自分の発した指示に対し相手が演奏で応えた時に、リアクションを返します。

彼は観客とのコミュニケーションにおいても、演奏は舞台上でだけ完結するのではなく、聴く人に届くことが重要で、そのためにオーケストラの意識を変えたり、観客の興味を引き出すようなトークをはじめ、様々な仕掛けを試みたりしていると答えています。

これを見て、指揮者に要求される能力は、9割方コミュニケーション能力なのではないかと思ったほどでした。

プロフィール
 

潮 博恵

Author:潮 博恵
MTT&SFSの音楽センスと革新的な活動に感銘を受け、ブログを開設。

【続・徹底研究】ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団で、よりわかりやすく彼らの活動と最新情報をご覧いただけます
続・徹底研究MTT&SFS


著作権分野の英文契約書作成等の行政書士をやっています。
うしお行政書士事務所

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